『少年』は、その年(1968年)、好きであったテレビ番組『てなもんや三度笠』が終了したことで、もう、『誰がカバやねん!』という原哲男のギャグを聞けなくなったのは残念であったが、そんなことではハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その85]の続き)
「(んぐっ!)」
自分と『パルファン』子さんを、『あいつと私』の『恵子』と『三郎』に重ねた後は、『ある日わたしは』の『ゆり子』と『次郎』に重ね、
「(んぐっ!)」
その次は、『花と果実』と『のぶ子』と『五郎』に重ね、
「(んぐっ!)」
そいて、『若い川の流れ』の『みさ子』と『健助』に重ね、
「(んぐっ!)」
と、『ミドリチュー』(広島市立翠町中学)2年生のエヴァンジェリスト少年は、自らの心に、そして、体の中に疼くような『異変』を覚え、それは抑え難い程に『膨らんで』いった。
「(んぐっ!)」
いずれも石坂洋次郎の原作のドラマであった。
中学生となったエヴァンジェリスト少年は、テレビドラマで石坂洋二郎という作家を知り、当時、次々と放映された石坂洋二郎原作のテレビドラマを見、それに先立つように公開されていた石坂洋二郎原作の映画をテレビで見た。そして、勿論、原作の小説も貪るように読んだ。中学生の間に、文庫化された石坂洋二郎の小説は読破した。
「(んぐっ!)」
石坂洋二郎の小説、映画、テレビドラマは、青春を描いていた。俗な表現ではあるが、青春のほろ苦い恋、清らかな愛、そして、初な性を描いていた。
「(んぐっ!)」
それが、エヴァンジェリスト少年を『大人』へと育てていった。石坂洋次郎モノの全盛期とエヴァンジェリスト少年の思春期が重なったのだ。
「(んぐっ!)」
そして、そこに描かれるヒロインと主人公が、『パルファン』子さんと自分とになっていたのだ。
(続く)
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