(うつり病に導かれ[その71]の続き)
「ワレか、『被服廠』の解体、云うたんは!」
菅原文太に酷似した角刈りの男の、にんにく臭い息が、ビエール・トンミー少年の顔を襲った。
「ウッ!」
ビエール・トンミー少年は、思わず、顔を背けた。
「おんどりゃー、『被服廠』をなんじゃあ思うとんならあ!こっち向けえやあ!」
ビエール・トンミー少年は、息を止めて顔を正面に向けた。
「ここはのお…」
菅原文太に酷似した角刈りの男は、『被服廠』を指差した。
「ボ、ボ、ボクが、『被服廠』の解体と云ったのは…」
恐怖を抑えながら、ビエール・トンミー少年は、思い切って、声を発した。しかし!
「ほりゃ、やっぱりワレか、『被服廠』の解体、云うたんは!」
と云うと、菅原文太に酷似した角刈りの男は、ビエール・トンミー少年の股間に手を伸ばし、ギュッと締め上げた。
「ギャッ、ギャッ、ギャッー!」
ビエール・トンミー氏は、叫び、閉じた眼の中で稲妻が走った。
(続く)
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