2020年4月23日木曜日

【ビエール、怒る!】お前たち、年金受給者のことを知っているのか![後編]






「君って奴は……持つべきは、やはり友だな。広島皆実高校1年7ホーム以来、50年の付き合いだもんな」

『Google Duo』で友人のビエール・トンミー氏と会話するエヴァンジェリスト氏の声は、涙声のようにも聞こえた。

「広島皆実高校、なんやそれは?ワテは知らへんで。ワテは、広島市立牛田中学を卒業後、謎の5年間を経て、ハンカチ大学商学部に入学したんや」
「君は照れ屋さんだなあ。『給付金』のことで、『年金受給者の収入は減らないのに』なんてことを云う馬鹿が出て来たから、ボクに代って怒ってくれたんだな」
「いやまあ、君のことも思わへんこともなかったけどな」
「しかしなあ、君の場合は、年金受給者で収入は減らないのだろ?」
「うっ…」
「君は、『高等遊民』だからなあ」
「『無用の用』やねん、ワテは」
「心配するな。君に『給付金』をもらう資格がないとは思ってないぞ」
「おお、そうでっか。君はやっぱり友だちやなあ」
「『給付金』もらったら何に使うのだ?ボクは生活費だ。ほぼ壊れている冷蔵庫を買い換えるかもしれん」
「うーん、そやなあ、愛する妻と旅行にでも行こか、思うてんねん。まあ、今の『コロナ騒動』が落ち着いてからやかけどな」
「そんな待つ必要ないぞ。『給付金』を受給したら、直ぐに旅行に行けばいい」


「まだ外出自粛せなあかんやろ」
「そうでもないらしい。『3密でなければ、外出していい』なんてことを、確か、『エンピツしんちゃん』だったかなあ、云ってたぞ」
「え、そうなんか?」
「ああ、そうだ。『エンピツしんちゃん』の奥さんみたいに、君たち夫婦も、『USA』なら行っても大丈夫だろう。『ドクトル・トリトン』のセミナー付のツアーがいいだろう」
「おお、おおきに!貴重な情報や。君はほんまもんの友だちや」

感激したビエール・トンミー氏が『Google Duo』を切った後、エヴァンジェリスト氏が呟いた。

「大丈夫だろう。アイツは変態だが、奥さんは美人で聡明だから、『USA』には行くまい。アイツは、ただ一人の友人だ。先に逝かれては困るからなあ」


(おしまい)



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