(うつり病に導かれ[その73]の続き)
「んん、もう!仕方ないわね」
マダム・トンミーは、スプーンですくったお粥を自らの口に含んだ。そして、
「じゃあ、アーンして。でも目は瞑って」
再び、顔を、眼を閉じた夫の顔に近付け、重ねた。
「んぐっ!」
夫は、驚き、眼を開けた。
「んん、もう!」
頬を赤らめながらも、もう一杯、お粥を自らの口に含み、髪をかき上げ、顔を夫の顔の上に落としていった。
「んぐっ!」
夫は、股間に両手を当てた。
「ところで、アータ、『ローラ』て、誰?『アニータ』て、誰?」
『元気』になった夫を確認し、気になっていた質問をした。
「へ!?」
夫は、口から『へ』を吐いた。
「『外田有紀』、『松坂慶美』、『マリコ』、『スミコ』て、どちらの女性?」
「へ!?」
「アータとどういう関係?」
(続く)
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