2020年4月13日月曜日

うつり病に導かれ[その74]






「んん、もう!仕方ないわね」

マダム・トンミーは、スプーンですくったお粥を自らの口に含んだ。そして、

「じゃあ、アーンして。でも目は瞑って」

再び、顔を、眼を閉じた夫の顔に近付け、重ねた。



「んぐっ!」

夫は、驚き、眼を開けた。

「んん、もう!」

頬を赤らめながらも、もう一杯、お粥を自らの口に含み、髪をかき上げ、顔を夫の顔の上に落としていった。

「んぐっ!」

夫は、股間に両手を当てた。

「ところで、アータ、『ローラ』て、誰?『アニータ』て、誰?」

『元気』になった夫を確認し、気になっていた質問をした。

「へ!?」

夫は、口から『へ』を吐いた。

「『外田有紀』、『松坂慶美』、『マリコ』、『スミコ』て、どちらの女性?」
「へ!?」
「アータとどういう関係?」


(続く)



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