「君は、寝ても起きてもパジャマを着ているだろう」
エヴァンジェリスト氏は、FaceTimeの画面に映る友人ビエール・トンミー氏の着衣に視線を落とし、ビエール・トンミー氏は、そのパジャマを掴んで自慢げに云い放った。
「ああ、せやけど、これ、パジャマには見えへんで」
「ああ、だから君は、外出する時もパジャマだ」
[参照]
「ああ、その通りや。誰もパジャマとは気付かへん」
「しかも、そのパジャマのズボンは『社会の窓』付でないと君は困るんだろ?」
「それがどないした云うねん?」
「君はおしっこが近いから、君のパジャマのズボンの『社会の窓』はいつも開けっ放しだ」
「なんや、見てんのかいな。開けとかんと間に合わんかもしれへんからな」
「ゴミ出しの時も開けっ放しだ」
「うーん、気にしてへんけど、多分、そやろなあ」
「それが問題なんだ。君の場合、『社会の窓』は、『社会の窓』ではなく『Social Window』なんだぞ」
「何、云うてんねん」
「『社会の窓』の奥には、マムシというか『原宿の凶器』が潜んでいる。なのに、『Social Window』を開けっ放しにするなんて」
「今は、『凶器』ではなく『小器』やけどな」
(参照:【格言】『猫に珍宝』)
「いや、マダムたちにとっては今でもまだ十分『凶器』だ。だから、君の場合、『社会の窓』は、マダムたちとの繋がりを齎らす、或いは、マダムたちとの『親睦』を深める、そう『Social』な『窓』なんだ!『Social Window』だ!」
「え!そうなんかいなあ!」
「だから、マダムたちは、ゴミ出しの時、君に、君の『Social Window』に惹きつけられてくるのだ」
「そう云われれば、思い当たることがあるわ。近所の奥さんたち、ゴミをこぼして、ワテの方に、ワテの股間の方に近づいてきたりすることがようあるわ。ありゃ、わざとやな」
「やはりそうであったか。だから、君が『Social Window』を保つことは難しいのだ」
「おお、許してえな、ご婦人方よ!」
詫びながらも満面の笑みを浮かべたビエール・トンミー氏がFaceTimeを切った後、エヴァンジェリスト氏が呟いた。
「ふん!マダムたちは、アイツのパジャマの異臭に立ち眩みをしただけであろうに」
(おしまい)
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