2020年4月14日火曜日

うつり病に導かれ[その75]






「JANAホテルって何?」

マダム・トンミーは、風邪で寝込む夫を更に問い詰める。

「な、な、なんのことだ?」

夫は、動揺しながらも惚けた。

「そこで、何かイレたの?」
「へ!?」
『もう無理だあ!』って、何が無理だったの?」
「へ!?」

ビエール・トンミー氏の眼が泳いだ。

「(どうして妻は知っているのだ?寝言か?)」

妻の顔の横にiPadがあった。そして、そこには、『その画面』があった。

「(おー、そうだ!)」

寝たまま、視線を横にずらした。PCのディスプレイがあった。床には、『お部屋ジャンプ』でテレビを見る為のディスプレイもあった。そして、そこにも、『その画面』があった。

「(そうだ、そうだったのだ!)」

風邪をこじらせ寝込むことになった時、自らの部屋を、ベッドとその周囲を『秘密基地』とし、寝たまま、情報を得られるようにしたのだ。手許には、iPhoneもあった。





(続く)


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