「そうねえ、ラブホテルって行ったことないから、いいかもしれないわ」
社内のエレベーター・ホールで、初な女の『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、同僚のトシ代に、危ない言葉を恥じらうこともなく口にした。
「トシ代さんと一緒なら」
会社の女性社員の憧れの的であるビエール・トンミー氏と人事総務部の古株女性社員『お局様』とが、池袋西口のラブホテルから出てきたところを見たという噂について話していたが、ラブホテルには男女のカップルだけではなく、男同士、女同士で行くこともあると、トシ代から聞き、更に、自分と一緒にラブホテルに行ってみるか、と誘われたのだ。
「あなた、本気?あなたって、女のアタシから見ても素敵だから、アタシはいいけど」
「トシ代さんとお茶するの楽しそうだもの」
「あのねえ、お茶もするかもしれないけど、それだけじゃないのよ」
「あら、もっとお楽しみがあるの?何かしら?」
「ホテルにはね、ベッドがあるでしょ?」
「まあ、そんなことするの!?」
「そうよ、『組んず解れつ』よ!」
「やっぱり!?なんだかワクワクするわ!」
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿