2020年11月10日火曜日

バスローブの男[その12]

 


「あなたって、見かけによらず大胆なのね」


社内のエレベーター・ホールで、『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、同僚のトシ代からそう云われた。2人は、会社の女性社員の憧れの的であるビエール・トンミー氏と人事総務部の古株女性社員『お局様』との噂話から発展して、ラブホテルのベッドでスルことについて話し、マダム・トンミーは、その『行為』に興奮し始めたのだ。


「うふっ…ふっ…私、こう見えても強いの!」


と云うと、マダム・トンミーは、右腕で力瘤を作って見せた。




「まあ!」

「トシ代さんもベッドの上でしてらしたのね」

「え?そりゃ、普通、ベッドの上でしょ。布団の上ですることもあるけど」

「ええ、布団でもいいわね。でも、ベッドの方がスプリングが効いてて、暴れても平気でいいわ」

「まあまあまああ!あなた、そんなに暴れるの?!普段は、大人しそうなのに」

「そう、ベッドの上では、私、別人よ!」

「アタシ、あなた相手だと負けちゃいそう…」

「バックの取り合いも負けないわよ!」

「ひゃっ!バックですって?アタシは、バック取られる方が好きだけど…んまあ、何、云わせるの。恥ずかしいわ!」



(続く)






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