「トシ代さん、プロレスのことをなんだと思ってらっしゃるの!?」
『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、そこが社内のエレベーター・ホールであることも忘れ、お嬢様社員とは思えぬ大声で、同僚のトシ代を批難した。
「な、何をムキになってるの?だってえ…」
トシ代は、マだム・トンミーの剣幕に後ずさりしながらも反論した。
「プロレスって、ショーでしょ。みんな、そう云ってるわ」
「少年隊や光GENJIのコンサートだってショーでしょ。人を楽しませのるがショーなら、ええ、プロレスは、ショーよ。そのことで、プロレスが馬鹿にされるの?!」
「でも、お芝居なんでしょ?痛めつけるのも、やられて痛がるのも本当じゃなくって、お芝居なんだわ」
「まあああ!じゃあ、コブラツイストかけましょうか!」
「いらないわ!コブラだか、アダブラカダブラだか知らないけど、興味ないし、どうせ態とかけられてあげないと、そんなのかけられないんでしょ」
「まああ!」
と、叫ぶと、マダム・トンミーは、トシ代の体に巻きついていった。
(続く)
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