「パナファコムは、今は『PFU』という会社になっています」
ビエール・トンミー氏は、彼自身が開発したマーケティングのシステムの操作説明を『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』にしようとしていたが、操作説明の前に、システム環境の説明をしていた。
「パナファコムは、ユーザック電子工業と合併したんです。そこで、『Panasonic』の『P』と『FACOM』の『F』、そして、『USAC』の『U』をとって、『PFU』なんです」
ビエール・トンミー氏は、今や確信犯となっていた。
「ピー…エフ…ユー…ですか…」
マダム・トンミーも、今や確信被害者となっていた。
「FACOM 9450を実際に製造するのが、『パナファコム』、今の『PFU』で、そこから富士通にOEM提供されてきたんです」
ビエール・トンミー氏は、自分の説明を『原宿のマドンナ』に理解してもらおうとはしていなかった。いや、むしろ、敢えて理解できないであろうことを説明していた。システムの操作の為には理解する必要もないことを持ち出して説明していた。
「オー…イー…エムっていうんですか?」
マダム・トンミーも、『原宿のアラン・ドロン』の言葉をなぞったが、理解しようとはしていなかった。いや、むしろ、理解できない説明を受けることに『悦び』を感じていた。
「(トンミーさんって、凄い!私って、バカ、おバカさんだわ)」
マダム・トンミーは、決してバカではなく、知性と美貌を兼ね備えた女性で、もう少し後の時代であったら、『原宿のシャラポワ』とも呼ばれたであろう存在であったが、ビエール・トンミー氏の前では、何も知らないおバカさんになっていたかったのだ。
(続く)
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