「恥ずかしい、なんて云ってちゃダメよ!攻めるが勝ちよ!」
『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』は、その言葉通り、同僚のトシ代に対してすっかり攻めに転じていた。2人は、社内のエレベーター・ホールで、会社の女性社員の憧れの的であるビエール・トンミー氏と人事総務部の古株女性社員『お局様』との噂話をしていたことも忘れたかのように、ベッドでスルことの話題に夢中になっていた。
「だって、アタシ、女だもの、基本は受け身よ」
『経験』豊富なはずのトシ代の方が、乙女のような恥じらいを見せるようになっていた。
「ダメ、ダメ、マウント・ポジションを取るのよ!」
「え?マウント・ポジション?それ、なあに?」
「寝ている相手の上に跨るのよ!」
「まあ、それって、キジョー……まあ、恥ずかしいこと云わせないでよ!」
「恥ずかしがってちゃダメよ。次々と攻めるの。上から胸を相手の胸に押し付けて、体をコントロールするの」
「まあ!胸を!」
「相手は、ヒーヒー云うわ」
「キャアー!ヒーヒーなの!」
「最後は、バックに回って、スリーパーで決めてもいいわ」
「へ?スリーパー?」
「腕で首を絞めるのよ」
「ま、ま、まあ!そんなこと、アタシしたことないわ」
(続く)
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