2020年11月2日月曜日

バスローブの男[その4]

 


「(あれは、年末調整か何かの書類の確認をしていただけだわ、きっと…)」


と思うことで、マダム・トンミーは、脳裡からアノ映像を消そうとしたが…


「(あの人、『お局様』の脚を見てたわ)」


社内のエレベーター・ホールで、『お局様』と夫(当時は、結婚前で、まだ夫ではなかったが)が、2人で話しているところを見かけたことがあったのだ。


「(そりゃ、あんな格好していると、殿方の眼は、どうしても向いてしまうわ。あの人だって…)」


『お局様』は、網タイツを履いていたのだ。





「(それに、あの時、『お局様』が書類を落としたのも、きっと態とだわ!)」


『お局様』が、夫と話している最中に、手にしていた書類を落とし、上半身を前傾させながら、それを拾ったのだ。


「(丸見えだったわ、絶対!だって、あんなに胸の開いたブラウスを着ているんだもの!)」


夫は、いや後に夫となる男の視線は当然のように、『お局様』の胸の谷間に落ちていた。


「んぐっ!」


夫の体のどこかに『異変』が生じたのを本能的に感じ取った。


「(『お局様』も…)」



(続く)



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