「あなたのお相手、痛めつけられるのがお好きなのね。そういう趣味の方がいるってことは知ってはいるけど」
トシ代は、同僚の『マダム・トンミーとなる前のマダム・トンミー』との会話に夢中となり、会社のエレベーター・ホールにいることを忘れていた。マダム・トンミーが、ベッドの上で相手に対して、首を絞める等して痛めつけると聞いて興奮を抑え切れなくなっていたのだ。
「そうね、弟は、私にスリーパーなんかで痛められるのが好き、っていうか、ヤラレ役になるのは好きみたいよ」
マダム・トンミーは、さらりと『弟』と言う言葉を口にした。
「ええー!あなた、弟さんとそんなことシテるの!?」
「そうよ」
「まあまあまああああ!世の中に兄弟姉妹とシタり、親ともシタりする人がいることは聞いてはいたけど、まさかあ、あなたがそうだなんて!」
「子どもの頃は、父ともシタわ」
「え、うそー!お父様ともって、本当なの!?弟さんやお父さんと、なんて、そういうのキンシ…..ああ、そんな言葉、アタシ、云えないわ!」
トシ代の顔面は、紅潮するとはこういうものなのか、と思わせる程に紅潮した。
(続く)
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