「(し、し、しまったあ!また、アイツの術中に嵌ってしまった)」
と、ビエール・トンミー氏が、後悔に歯軋りをした時、その動揺を見透かしたかのようなiMessageが、友人のエヴァンジェリスト氏から届いた。
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「どしたん?返事がないじゃないねえ。ひょっとして、両手をなんかに、どっかに使うて、メッセージが打てんの?」
「いや、鼻をかんでたんや」
「ふう~ん。鼻は何かの象徴じゃあ云うけえね」
「止めれ、オゲレツは。問題は、『鼻』やのうて『花』や。まあ、『花』に限らず、植物や」
「お、上手いこと、誤魔化すんじゃね」
「じゃっかましいで。『牧野富太郎』先生は、植物の標本採集すんの大変やったろうが、『インモー』の標本採集も、難易度が高いで。ソレにやな、『インモー』研究は、ある意味、植物学より遥かに深淵な学問や。物理的なモンより写真や映像という二次資料を対象とする抽象性が、學問としての『インモー』研究の難易度を上げとんのや」
「『インモー』と『インモー』がぶつかり合った時に生じるエネルギーや、『インモー』を間近に見たり触ったり舐めたりした時に、それをした人間(主として男)の心身に生じる異変についても研究するんじゃろう?」
「繰り返すが、『インモー』研究に当たっては、男は全くの対象外や。ここんとこは、重要な点や」
「女性の『インモー』が与える他に与える影響なんじゃけど、その影響を受けるんが男じゃったら、そこは研究対象にならんのんじゃね?」
「さっきも伝えたが、男を『インモー』研究の対象にすんのは、異端審問や」
「ぶつけ合ったり、間近に見たり触ったり舐めたりするんが、女性の場合はどうなん?最近は、そういう組み合わせもあるじゃろう?」
「アンサン、気いつけるんやで。アンサンとワテのこのiMessageのやり取りは、いつか『プロの旅人』に載せられるかもしれへんで、そん時、オゲレツも度が過ぎると、読者が離れてくで。まあ、読者いうても、世界に1~2人しかおらへんやろけど」
「ワシ、真剣に『インモー』研究なるもんを知ろうとしとんじゃがのお。じゃけえ、訊くんじゃが、アンタ、『インモー』研究の成果として、こうような論文でも書くん?
『自己生成するインモー』
『インモーのパラドクシカルな構造と自己パロディ』
『インモーとインモーの時空的交錯』
『インモー、あるいは洞窟前の森林学』
どうね?アンタらしい深淵な、いや、深淵そうに見えるタイトルじゃろ?」
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「(おお、確かに、そんな一般には使われない言葉やそんな言葉の組合せをつけられると『インモー』研究も、崇高なものに思えてくるなあ)」
と、ビエール・トンミー氏は、満更でもないを意味するかのような皺を頬に寄せた。
(続く)
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