「(オリンピック開催に反対だったのは本当だが、開催されるからには、なんとかチケットが当った女子新体操を見に行きたかったんだ。なのに無観客にしよって!それを、観客がおらんから『オランピック』だとか、アイツ、巫山戯てきやがって!)」
と、ビエール・トンミー氏が、脳裡に、オリンピックとは関係ないのに、白髪の鬘を被った高名な作曲家の肖像画が浮かばせながら、怒りに拳を握った時、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏から、ビエール・トンミー氏の心中を見透かしたのか、敢えて媚びるようなiMessageが送られてきた。
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「無観客じゃけえ『オランピック』、と云うと、フランス語の堪能なアンタは、オリンピックは、フランス語では元々、『オランピック』じゃあ、云うじゃろうねえ」
「何でフランス語で『オランビック』か説明する機会を与えるで」
「アンタにゃあ、俗に云う釈迦に説法じゃろうが、『in』とか『im』は、フランス語では、カタカナで云うと『アン』じゃろ」
「ああ、せやで」
「で、『ym』は、『im』に近いもんじゃけえ、『Olympic』は、フランス語じゃと、『オランピック』という発音になるんよね。これで説明合うとる?」
「そうや、その通りや。よくデケタで。けどやな、観客のおらん『オランピック』に何の意味があんのやろ?」
「米国のテレビ放映料が入ったらええんじゃないんかねえ。巷間云われとるように、あ、股間でも睾丸でもないけえね」
「アホか!?」
「その巷間、オリンピックはもうだいぶ前から、商業主義に走っとる、と云われとるけえね。コマーシャリズムが全部ダメじゃないんやろうが、行き過ぎ、それも米国を重視し過ぎらしいけえ。真夏の開催、各競技の(特に、米国民の関心の強い競技の)時間は、米国タイムらしいけえ。猪木さんは、まだ参議院議員じゃった頃に、国会で、7月の東京でオリンピックやるのは馬鹿げとる云うとったんよ」
「アホか、思うたら、今度は急に真面目なこと云うやんけ。なんか気色悪いで」
「昔、ソ連なんかの選手は、ステート・アマチュアで一種のプロじゃったし、その意味では不公平じゃけえ、プロ参加を認めるようになったこと自体は、必ずしも責められるものじゃないんかもしれんが、やはりコマーシャリズムの行き過ぎなんじゃろうねえ」
「せやで。1964年の東京オリンピックの頃のオリンピックは、もっと純粋なスポーツの祭やったが、最近は、スポーツかなんか分らん、ちゅうか、スポーツとは思えへん競技が増えてきてんのや。スケートボードがオリンピック種目に加わってのを憤慨しとったんやが、次のバリ大会からは『ブレイキングダンス』が追加されるんやてな。あの不良が路上でクルクル回って踊っとる奴やで」
「個人の感想です。尚、正しくは、多分、『ブレイキン』です」
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「(何が、『個人の感想です』だ!アイツ、どうせ、ボクとのiMessageのやり取りをBlogで使うつもりで、どこからかクレームが入るのを警戒しているんだろうが、アイツのオゲレツBlogなんて読む奴なんていやしない)」
と、ビエール・トンミー氏は、意外と弱腰な友人エヴァンジェリスト氏への批判を心中に思った。
(続く)
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