「(ああ、『アンカーボール』の他に何か特別なボールがあってもなくてもどうでもいいんだ。そもそも、何故、『玉入れ』の話なんかしているんだったか…?)」
と、ビエール・トンミー氏が、運動会で『玉入れ』をする小学生たちの中に佇む爺さんな自分の姿を想像していると、友人のエヴァンジェリスト氏から謎解きを始めるiMessageが入ってきた。
====================================
「いやの、特別なボールが用意されるんじゃあないんよ。特別なボールを持った人間が『玉入れ』に参加するんよ」
「はああん?なんや、『アジャタ』( AJATA)の『玉入れ』にゃ、特別なプレーヤーが入るんか?」
「いやの、ルール上は、特別なプレーヤーじゃないんじゃけど、特別なボールを持った人間は、そりゃ、特別なプレーヤーにゃあなるでえ」
「なんかよう分らへんなあ。特別なボールちゅうんは、『アンカーボール』ではないんやろ?やったら、『ジョーカー』みたいなボールで、そのボールを入れた方が、無条件で勝ちになったりするんやろか?」
「いや、そうようなルールはないと思うで。それに、特別なボールをネットに入れられたら、アンタ、困るじゃろうがねえ」
「はあ?」
「もぎり取られて、投げられたりしたら、アンタ、痛うて堪らんじゃろう?いくら、1個のうなっても、もう1個あるいうてものお」
「え?!アンサン、もしかしてえ!」
「もしかもエゾシカもないじゃろうがあ。握られるだけなら、望むところじゃろうし、エエ意味で『悶絶』じゃろうけど、玉をもぎり取られたら、アンタ、『悶絶』じゃあ済まんじゃろう。気絶してしまうで」
「オゲレツもエエ加減にせえよ!オリンピックに新しい種目入れるいうても、『玉入れ』は、やっぱりアカンで。『借り物競争』のような楽しみもあらへんし」
「心配しんさんなや。握られるだけで、もぎり取られたりはせんよおねえ」
「いや、握られるだけでも嫌や」
====================================
「(真面目に反応して時間の無駄だった。オゲレツにしても、『玉入れ』なんてくだらない。『玉入れ』の『玉』とこっちが持っている『玉』とを無理矢理結びつけただけじゃないか!)」
と、ビエール・トンミー氏は、夢から覚めたように、頭を軽く左右に振った。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿