「(でも、『祇園』て、ボクが広島にいた頃は、『広島市』ではなく郡部だったはずだ….あ、いや、いかん、いかん)」
と、ビエール・トンミー氏は、またもや友人のエヴァンジェリスト氏に翻弄されている自分に気付き、腹に力を入れ、エヴァンジェリスト氏に、語気強いiMessageを送った。
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「あんなあ、ワテが牛田にいた頃、『やえ』ちゅうオナゴはんに会うたことあらへんで。それに、『祇園』いう所は、知っとったが、行ったこともあれへんねん」
「ええ?アンタあ、『祇園』でよう遊んどったんじゃないん?扇投げたり、おまわりさんしたりしたんじゃないん?」
「なんでワテが、『祇園』で扇か団扇か知らへんけど投げなあかんねん?おまわりさん遊びて、警官ごっこなんか、子どもの頃、したことあらへん」
「ほうなん?ワシ、てっきり、『だんさん、上手いどすなあ。お強うて、ウチ、かなわしまへんわ』とか云われて、エエ気になとったんじゃないん?」
「なんや、それ?広島弁やのうて、京都弁やないか?あ!アンサン、またやりおったな。『祇園』て、京都の『祇園』にすり替えよったな。でもな、ワテ、京都の『祇園』にも行ったことあらへんのや。『祇園』なんてモン、フツーの人には別世界の話やで。そないなとこ、ワテ、行く訳ありまへんがな」
「『祇園』は、セレブなアンタなら、『投扇興』とか、芸妓さんとか舞妓さんとじゃんけんして負けた方が回ってお酒を飲む『おまわりさん』なんかに興じたことがあるんかあ思うたんじゃけどのお」
「エエか、ワテは、京都の『祇園』も広島の『祇園』も行ったことないねん。いや、京都の『祇園』の街は歩いたことはあるけど、『祇園』のお座敷なんか行ったことないねん。広島の『祇園』は、太田川の向こう側辺りやいうことを知っとった程度やし、今は知らんけど、ワテが牛田にいた頃は、牛田が広島市の一番北辺りで、『祇園』は広島市やなかったさかい、興味なかったで。そこに『やえ』ちゅうオナゴが住んどっても会うたこともある訳ないやろ」
「そりゃ、彼女は、アンタより31歳も若いけえ、アンタが広島を離れたずっと後に生まれたんじゃけえ、アンタ、広島では彼女に会うたことある訳ないじゃろう。それに、彼女の名前は『やえ』じゃないけえ」
「え?せやかて、アンサン、『やえ』云うたやないか」
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「(アイツは、二重三重に意味不明なことを云ってくるから、クラクラしてしまう)」
と、ビエール・トンミー氏は、罹ったこともない『メニエール病』になってしまった感に襲われた。
(続く)
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