「(『オソレイリヤ』を、思わず『オーソーレ』とイタリア語風に感じてしまったが、迂闊だった。それに、イタリアに『イリヤ』なんて名前の人とか地名とか物とかなんてあるんだろうか?...ああ、いかん、いかん。どうせどうでもいいことなんだろうし)」
と、ビエール・トンミー氏が、混乱する自身の思考への反省を思った時、友人のエヴァンジェリスト氏から、もっともっと混乱を生じさせるiMessageが入ってきた。
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「アンタの聡明さには、『舟木一夫』も『太助』もびっくりじゃろう」
「なんで、ここで『舟木一夫』が出てくんねん?それに、誰や、『太助』て?あ!いや、答えんでエエ。どうでもエエことや」
「隠さんでもええけえ。『舟木一夫』が『一心太助』になったんは、1967年の4月のことじゃけえ、山口の『琴芝』から広島に引っ越してきたばかりの中学一年の子どものアンタは見んかったじゃろうし、その主題歌も聞いたことなかったんかもしれんけど、あの特派員から、そのこと聞いたんじゃろう?」
「ええい、止めえな。意味不明やで。『舟木一夫』が『一心太助』の役でもして、その映画かドラマか知らへんけど、その主題歌を歌うたことくらいは察しがつかんことはないけど、それが何やねん。けど、それが何かも、どうでもエエわ。特派員ちゅうんも意味不明やけど、説明いらんで」
「やっぱり、『舟木一夫』が映画『一心太助』に主演したん知っとったんじゃね。『舟木一夫』は、主題歌で、『♪おそれ入谷の鬼子母神♪』と歌うたけど、『おそれ入谷』いうんは、『太田蜀山人』(つまり、『大田南畝』じゃね)の狂歌『いまさらに恐れ入谷のきしも神あやうく過ぎし時を思へば』から来たもんらしいんよ」
「『太田蜀山人』か『大田南畝』か知らんけど、誰やそれ?『太田川』ならよう知っとるし、馴染み深いんやけどなあ。ワテが暮らした広島の牛田のすぐ近くに流れとったさかいなあ。牛田の家の裏にあった小川ちゅうか溝みたいなところに、『太田川』から遡上してきた鰻を獲って母親が料理してくれたもんや」
「話を『牛田』に持って行かんでや。『牛田デラシネ中学生』はなんでか知らんけど、今、連載が止っとるらしいんじゃし」
「何で、連載が止っとるか、アンサン、よう知っとるんやないんか?」
「まあ、ええけえ、聞きんさいや。『おそれ入谷の鬼子母神』の『おそれ入谷』云うんは、『恐れ入る』を冗談めかして云うやつじゃないねえ。『くだらん冗談はヨシコちゃん』みたいなもんじゃけえ」
「はああ?それが何や、ちゅうねん。それこそ、『くだらん冗談はヨシコちゃん』やで」
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「(ああ、嫌だ、嫌だ。言葉返しとはいえ、口にしたくもない『くだらん冗談はヨシコちゃん』なんてオヤジ・ギャグ的な冗談を云ってしまった)」
と、ビエール・トンミー氏は、自らも立派な『オヤジ』であることをさておき、会社で若いOLに、つまらないギャグを云っては悦に入っている『オヤジ』な男を想像して、軽く吐き気を催した。
(続く)
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