「じゃあ、ビエールの奴が、『ナンパ』されたとでも云うのか?」
エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員との埒が明かぬiMessageのやり取りに疲れ、ベッドで起こしていた自らの半身を再び、横たえ、半分、目を閉じながら、特派員にiMessageを送った。
「はい」
特派員は、端的過ぎるくらい端的にそう答えた。
「はあ~ん?」
体をベッドに横たえたまま、エヴァンジェリスト氏は、枕を下に、だらしなく口を開けたその様子そのもののiMessageを送信した。
「ご理解されていないようですね。あの方は、『ナンパ』されたのですよ」
「ふん!『くだらん冗談はヨシコちゃん』だ」
「おお、昭和のオヤジギャクですね」
「どうだ。『♪おそれ入谷の鬼子母神♪』だろお」
「はあ~ん?何をいきなり歌いだすんですか?」
「ほ、この歌を知らんのか?」
「知りませんし、知りたいとも思いません」
「『舟木一夫』だ」
「ああ、『高校一年生』ですね」
「巫山戯るな。『高校三年生』だろうに。その『舟木一夫』の歌だ」
「ですから、そんな歌のこと、知りませんし、知りたいとも思いません、って」
「その『舟木一夫』が.......おお、そうだ、今、『プロの旅人』で連載している『【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方』で、ビエール・トンミーの奴が、広島の牛田中学に入学した頃のことを書いておるみたいじゃが、丁度その頃、そう、1967年の4月20日に封切られた『一心太助 江戸っ子祭り』という映画の主題歌だ。『舟木一夫』が、映画の主役を演じ、主題歌も歌ったんだ」
「ですからあ、『舟木一夫』も『一心太助』も興味ありません、と申し上げてるでしょ!」
「『一心太助』はな、威勢のいい江戸っ子の魚屋でな。徳川将軍家に仕える旗本で、『天下のご意見番』ともいわれた『大久保彦左衛門』と親しくなって…….」
「あああ、いいですかあ!あの方の中学一年の頃の映画のことなんか、どうでもいいんですう!あの『牛田デラシネなんとか』だって、Blogだか妄想だか知りませんが、何だか矢鱈長くて、博識ぶったことばかりの話が何ヶ月も続いていた、と思ったら、今度はいきなり、あの方が優秀でモテモテという訳のわからない展開になって…..あ!そう、そう、そうなんですよ!」
(続く)
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