2022年6月19日日曜日

【緊急衝撃特報】ナンパ老人、危機一髪![その7]

 


「じゃあ、ビエールの奴が、『ナンパ』されたとでも云うのか?」


エヴァンジェリスト氏は、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員との埒が明かぬiMessageのやり取りに疲れ、ベッドで起こしていた自らの半身を再び、横たえ、半分、目を閉じながら、特派員にiMessageを送った。


「はい」


特派員は、端的過ぎるくらい端的にそう答えた。


「はあ~ん?」


体をベッドに横たえたまま、エヴァンジェリスト氏は、枕を下に、だらしなく口を開けたその様子そのもののiMessageを送信した。


「ご理解されていないようですね。あの方は、『ナンパ』されたのですよ」

「ふん!『くだらん冗談はヨシコちゃん』だ」

「おお、昭和のオヤジギャクですね」

「どうだ。『♪おそれ入谷の鬼子母神♪』だろお」

「はあ~ん?何をいきなり歌いだすんですか?」

「ほ、この歌を知らんのか?」

「知りませんし、知りたいとも思いません」

「『舟木一夫』だ」

「ああ、『高校一年生』ですね」

「巫山戯るな。『高校三年生』だろうに。その『舟木一夫』の歌だ」

「ですから、そんな歌のこと、知りませんし、知りたいとも思いません、って」

「その『舟木一夫』が.......おお、そうだ、今、『プロの旅人』で連載している『【牛田デラシネ中学生】変態の作られ方』で、ビエール・トンミーの奴が、広島の牛田中学に入学した頃のことを書いておるみたいじゃが、丁度その頃、そう、1967年の4月20日に封切られた『一心太助 江戸っ子祭り』という映画の主題歌だ。『舟木一夫』が映画の主役を演じ、主題歌も歌ったんだ」

「ですからあ、『舟木一夫』も『一心太助』も興味ありません、と申し上げてるでしょ!」

「『一心太助』はな、威勢のいい江戸っ子の魚屋でな。徳川将軍家に仕える旗本で、『天下のご意見番』ともいわれた『大久保彦左衛門』と親しくなって…….」




「あああ、いいですかあ!あの方の中学一年の頃の映画のことなんか、どうでもいいんですう!あの『牛田デラシネなんとか』だって、Blogだか妄想だか知りませんが、何だか矢鱈長くて、博識ぶったことばかりの話が何ヶ月も続いていた、と思ったら、今度はいきなり、あの方が優秀でモテモテという訳のわからない展開になって…..あ!そう、そう、そうなんですよ!」



(続く)



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