「ああ、そうだったのかあ」
と、エヴァンジェリスト氏は、右手に持つiPhoe SE(第1世代)に向って頷きながら、ビエール・トンミー氏を取材対象とする特派員にiMessageを送った。
「何が、そうだったのか、ですか。私、何も申し上げていませんが」
「『Windowsのスタートメニューがいうことをきかないんですう!』とでも、その若い女性にアプローチされたのだろう?」
「その『ですう!』も気持ち悪いので、止めて下さい」
「『クリックしても、反応しないんですものお。アタシが、触っているのにい、スタートできないのよお!ねえ、どうしたらいいの!』と口を尖らせてきたんだろう」
「あのお、オゲレツな妄想もいい加減にして下さい」
「スタートメニューを起動できない時、どうしたらいいか、分るか?」
「分かりません。でも、PCを再起動でもすればいいんじゃないんですかあ」
「『だが、『再起動してもダメなんですう!もう、ホント、『役立たずなんだからあ!』ということかもしれんぞ。この場合はだなあ、まず、『エクスプローラー』を再起動すればいいんだ。で、どう再起動するか、知っているか?」
「知りません!それに、貴方の云い方、ホント卑猥ですよ。でも、とにかく、Windowsのスタートメニューのことなんか、興味ありませんから、説明しないで下さい」
「『タスクマネージャー』を使うんだ。『Windowsマーク』を右クリックして『タスクマネージャー』を選択すればいいんだが、できない場合は、『Ctrl + Shift + ESC』キーを同時に入力して『タスクマネージャー』を選択すればいいんだ。でだなあ、それから…」
「ちょっと、ちょっと。どうでもいいことなんですが、どうしてWindowsのことそんなに詳しいんですか?貴方、Macユーザーなんでしょ。『Windowsは使いにくい、醜い』、と大っ嫌いではなかったんですか?」
「今は、Windowsは、大好きだ」
「どうでもいいんですが、どうしてですか?」
「使い辛いところ、訳の分からんトラブルが発生するところがいい。だから、シルバー人材センター経由でワシにサポート依頼の仕事が来るからなあ。ははは!」
「Macユーザーなのに、Windowsのこと、分るんですか?」
「まあ、システム、コンピューターの基本さえ分ってりゃ、まあ、対処はできるさ。だが、大手企業のシステム部で名を馳せたアイツは、ワシとは違って、ほんまもんの屈指のWindows使いだからなあ。その若い女性は、どこかでアイツがWindowsマスターだということを聞きつけ、Windowsのことで相談するふりをして『ナンパ』してきたのだろうなあ」
「貴方、妄想の大家ですねえ。誰が、道端でいきなり、見ず知らずの相手に、Windowsの相談をしてきますか?」
(続く)
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