「(『栗を使った万年筆』があるなんて、どうせ、子ども用のお菓子で、万年筆の形したマロン・チョコみたいなもんのことだろう)」
と、ビエール・トンミー氏が、見たこともなく、存在の有無も知らぬお菓子を想像していると、それを見透かしたかのようなiMessageが友人のエヴァンジェリスト氏から入ってきた。
====================================
「アンタあ、万年筆の形をした栗の味をしたチョコレートみたいなもんかあ、とでも思うんじゃないん?」
「ああ、そんなもんやろ」
「『そんなもん』?アンタあ、子ども騙しのお菓子じゃあ、思うとるん?」
「ちゃうんか?」
「アンタあ、『ジャン=ポール』をバカにしとるん!?」
「はああ?また、知らん奴出してきよったで。いや、『ジャン=ポール』て、『ジャン=ポール・ベルモンド』ことか?」
「アンタあ、関係ない人物出してきて、また、話をあっちゃの方に逸らそうとしとるん?」
「なんや、『ジャン=ポール・ベルモンド』ことやないんか?」
「『ジャン=ポール・ベルモンド』が、万年筆とかチョコレートとなんか関係あるん?『勝手にしやがれ』!」
「お、『勝手にしやがれ』できたか。『ジャン=ポール・ベルモンド』の代表作やな」
「パラシュートをつけたお兄さんも忘れんとってや」
「またまた、妙なこと云うて、話を逸らしていくんやな」
「いや、ワシ、別に、『勝手にしやがれ』を唄うた『沢田研二』のことを云いたかったんじゃないんじゃけど、アンタが先に、ワシが話そうとしとることと関係ない『ジャン=ポール・ベルモンド』を出してきたんじゃないねえ」
「ああ、『沢田研二』かあ。でも、『ジャン=ポール・ベルモンド』が関係ならへんのか?アンサン、『ジャン=ポール』云うたやないか」
「ワシが云うた『ジャン=ポール』は、『ジャン=ポール・エヴァン』(JEAN-PAUL HÉVIN)じゃけえ」
====================================
「(確信犯なんだ、アイツ。最初から、『ジャン=ポール・エヴァン』と云えばいいのに、態と『ジャン=ポール』とだけ云って、ボクに別の『ジャン=ポール』を想像させるか、自分から『ジャン=ポール・なんちゃら』じゃないんよ、としようとしたんだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、普段のおちゃらけ顔の下から、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏のドス黒い裏の顔が現れてくる様を思い描いた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿