「(自分だって、『東京日仏学院』の『ディクテ』から逃亡した過去を持っているくせに…だけど、どうして、フランスの競走馬のことになってるんだ?)」
と、ビエール・トンミー氏の脳裡に、友人のエヴァンジェリスト氏が競走馬になって競馬場をおちゃらけながら走る姿が浮かんできた時、エヴァンジェリスト氏から、珍しく話を遡及させるiMessageが入ってきた。
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「そうなんよ。アンタ、『SNCF』の大家でフランス通じゃけえ、『ジャン=ポール・エヴァン』がフランス人じゃ、とすぐ分ったんじゃね」
「まあ、せやな。アンタにゃ、隠し事できひんな」
「『ジャン=ポール・エヴァン』が、有名な『ショコラティエ』じゃ、いうことも知っとんじゃね?」
「はあ、『ショコラティエ』やったんか」
「あれ、知らんかったん?奥様は、ご存じかもしれんよ。日本にも店があって、『伊勢丹新宿本店』や『日本橋三越本店』なんかにも店あるんよ」
「おお、一流なやな」
「あ、広島の『アンデルセン』にも店があるらしいけえ」
「おお、『アンデルセン』の本店のビルは、確か、元銀行の古い建物やったなあ。で、その『ジャン=ポール・エヴァン』はんが、どないした云うねん?」
「アンタ、一流の『ショコラティエ』の『ジャン=ポール・エヴァン』が、『子ども騙しのお菓子』作ると思うん?」
「ああ、なんか、そないな話してたんやったな」
「『ジャン=ポール・エヴァン』は、のお、2014年の6月1日から期間限定で、『スティロ ショコラ ノワール』を発売したんよ」
「え?」
「『SNCF』の大家のアンタにゃ、『猫に小判』、いや、『釈迦に説法』じゃろうけど、『ステテコ ショコラ ノワール』じゃないけえね」
「やからあ、もう、『じゃないけえ』はやめれ」
「『ステテコ ショコラ ノワール』じゃあ、黒いチョコレートでできたステテコになるけえね」
「気色悪いで」
「『スティロ ショコラ ノワール』は、『stylo chocolat noir』で、『stylo』は、ペン、万年筆のことじゃろ。つまりの、『ジャン=ポール・エヴァン』は、本物の万年筆に見える形をした特別なショコラを作って発売したんよ」
「おお、そりゃ、見てみたかったで」
「ネットで検索したら、見れるで。URL教えたぎょうか?」
「そこまでしてまで見たいとは思わへん。て云うか、アンサンが云うてた『モンブラン』は、『ジャン=ポール・エヴァン』はんが作った万年筆の形したチョコレートのことやったんか?」
「違うけえ」
「せやったら、栗を使うたほんまもんの万年筆があるとでも云うんか?」
「云うんよ」
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「(まただ。アイツの『云うんよ』は、こっちの神経を見事にまで逆撫でしてくる)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏に、自らの頬の産毛を逆撫でされる感じがして、思わず、身を震わせた。
(続く)
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