「(『男らしゅうない』というのは、言葉の綾だ。そんなことは、アイツ、よーく分っているくせに。それよりも、アイツの方が、そう、よっぽどハラスメントしてきているじゃないか!)」
と、何かを思い出したビエール・トンミー氏は、右手に持つiPhone14 Proの画面に自らの顔を突っ込んでいくのではないかと思える程に、前のめりになって、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏へのiMessageを打ち始めた。
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「あんなあ、アンサン、ワテに『セクハラ』とか『パワハラ』とか云うとるけど、アンサンは、ワテに『オゲハラ』してるやないかあ」
「え?ワシ、『どろろ』なん?」
「へ?へ?へええ?『とろろ』?」
「何、云うとるん?そりゃ、ワシ、『とろろ』好きで。お椀に『とろろ』を入れ、そこに『味の素』を振って、醤油をかけて、お湯を注いだお吸い物、大好きじゃけえ。簡単じゃしのお。アンタも、『とろろ』好きじゃろ?いや、正確に云うと、『とろろ』みたいなもん、モジャモジャしたもんじゃけど、アレを吸うんが好きなんじゃろ?ふふ」
「え?『モジャモジャしたもん』?モジャモジャ頭?....あ!アンサン、またオゲレツ云うたな。そりゃ、確かに、ワテは、『イン●ー』研究家やけどな。でも、オゲレツはやめれ」
「なんねえ、自分から『とろろ』云うてきたくせに」
「『とろろ』云うてきたんは、アンサンの方やないか」
「違うけえ。ワシ、『どろろ』云うたんよ。『と』に点々(濁点)ついた『どろろ』よおねえ」
「また、紛らわしいことすんのやなあ。それに、なんで、『どろろ』が出てくんのや?『どろろ』いうたら、確か、『手塚治虫』の漫画やろ?それが、なんやねん?」
「ほいでも、アンタが、『ホゲホゲ』云うたんじゃないねえ。『ホゲホゲ』云うたら、『♪ホゲホゲ タラタラ ホゲタラポン』いう主題歌の『どろろ』じゃないねえ」
「あ~あ、ほんま、アンサンには感心するで」
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「(アイツは、読んだ文字を態と聞き間違いする『特技』を持ってる)」
と、ビエール・トンミー氏は、惚け顔の裏に極めて明晰な頭脳を持つアイツこと友人のエヴァンジェリスト氏にある種の畏敬の念を抱くのであった。
(続く)
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