「「(いや、だめだ。『架空』とか『悟空』とかの言葉やアイコラ云々に拘っていてはいけない。問題は、そう、『ドリー・キムラ』、『タニー・オータニ』なんだ)」
と、ビエール・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏についつい翻弄されることを自省していると、エヴァンジェリスト氏から、その自省の言葉と同じ言葉のiMessageが送られてきた。
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「あんのお、問題は、『ドリー・キムラ』と『タニー・オータニ』なんよ」
「ああ、せやで、そん通りや!『架空』とか『悟空』とかの言葉で誤魔化したらあかんで」
「誤魔化す?そりゃ、聞き捨てならんでえ。アンタあ、『架空』とか『悟空』とかを馬鹿にしとるけど、『空』(くう)を侮ったらいけんよ」
「なんや、また、ややこしそうなこと云出だしよるで」
「ワシ、カトリック作家(François MAURIAC)の研究をした者で、仏教関係に詳しゅうはないんじゃけど、『空』(くう)は、今はなんか否定的な意味に捉えられることが多いんかもしれんけど、『空』(くう)は、梵語の『シューニャ』のことで、『シューニャ』は、『無』いう意味もあるんかもしれんけど、『膨れる、成長する』いう意味もあるらしいんよ。あ!アンタあ、『膨れる』でオゲレツな発想はせんといてや」
「なんでも『ソコ』に持ってくアンサンがオゲレツや」
「数字の『ゼロ』も『シューニャ』から来とるらしゅうて、それで、聡明なアンタなら分るう思うけど、『空』(くう)は、『+』(プラス)でも『-』(マイナス)でもないし、どっちにも転がっていく可能性のあるもんなんよ」
「アンサン、なんかもっともらしいこと云うとるけど、それがなんや、ちゅう話や」
「『悟空』は、その高遠なる『空』(くう)を悟るいうことで、深い言葉じゃろ。実際、『悟空』は、アンタの『凶器』のように伸び縮みする『如意棒』を持った暴れん坊の猿が元じゃのうて、インドに遣わされた唐の官吏が、仏典を収集して帰国して、それで、当時の皇帝から『空を悟る』という意味でもろうた名前なんじゃと聞いたこともあるんよ」
「また、デジタル・ハンターしたんやな」
「『架空』も今は、実際には存在せんええ加減なもん、いうようななんか否定的意味で使われるかもしれんけど、高遠なる『空』(くう)に架けるいう意味で、これも深い言葉じゃないかあ、思うんよ」
「なんか、こじつけやあらへんか?」
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「(アイツ、『架空』とか『悟空』とか適当に口にしたはずなのに、後付けで理屈をつけてきやがってえ)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏の、まさにもっともらしい理屈に感じる苦々しさに唇を噛んだ。
(続く)
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