「(だけど、ボクが『アパッチ砦』と云ったことをいいことに、そこから、話をまた関係ないことへどんどん逸らしていったのは、アイツなんだ)」
と、ビエール・トンミー氏が、責任の一端は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏にもあると思っていると、そのエヴァンジェリスト氏から、その責任を自覚しないままのiMessageが入ってきた。
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「ええね。ワシは、財務上の『砦』、『最後の砦』として、『自己資本』を語ろうとしとったんよ」
「ああ、語ったらええ」
「なんか、すっとぼけとるのお。まあ、ええけど、『自己資本』は、『最後の砦』じゃろ。でも、その『自己資本』がどのくらいあったらええか、いうんには、普通、『総資産』との対比で見るんよね?」
「ああ、普通、その対比で見るで」
「それつまり、『自己資本比率』じゃね?」
「…じゃ」
「でも、さっきも説明したように、『総資産』に比して『売上』の方がずーっと大きい場合には、適切じゃないじゃろ?」
「ああ、適切とは云えへんで」
「じゃけえ、『自己資本』の厚みを『総資産』と比べて測るんじゃのうて、『売上』と比べて測るべきじゃあないかあ、いうことなんよ」
「ああ、それで測るべきやろな」
「でものお。こういう云い方すると、なんか、『自己資本比率』が意味ないみたいに思われるかもしれんけど、『自己資本比率』はやっぱり有効じゃろう、思うんよ」
「え?なんや、アンサン、どっちつかずやないんか?」
「ほいじゃったら、訊くけど、1億円の企業いうたら、どういう企業なん?」
「え?あ…ああ、そりゃ、1億円持っとる企業やないか」
「『1億円持っとる』いうんは、どういう状態なん?『総資産』が1億円なん?それとも、『売上』が1億円なん?」
「うっ…それは…やなあ。せや、アンサンはどっちや思うんや?」
「ありゃ、ワシを試すん?」
「ああ、試しとるで。きっちり答えや」
「ほいじゃあ、答えるで。製造業なんかの一般的な業種の企業じゃったら、どっちでもええんじゃろ?」
「どっちや?」
「まだ試そうとしとるん?アンタの罠には引っ掛からんよ。『どっち?』と訊かれたら、まさに、『どっち』かと答えるじゃろうけど、それは質問の罠じゃ。『どっち』でもあることもあったり、『どっち』でもない可能性もあるんじゃけえ」
「なんや、ゴチャゴチャ煩いでえ」
「要するに、製造業なんかの一般的な業種の企業じゃあ、『資産』はおよそ1年で1回転するじゃろ?」
「んん?...『回転』?...ああ、まあ、そやろな、多分…」
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「(『資産』が1年で1回転する?『資産』が1回転する、って何なんだ?)」
と思うビエール・トンミー氏の脳味噌は、ドラム式洗濯機に放り込まれたように、頭の中で、理解不能なものを追ってグルグル回るのであった。
(続く)
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