「(チクショー!訳の分らない話をしてきやがる。ボクには分らないことを知っていて、態と『財務分析』の話をしているんだ、アイツ!)」
と、ビエール・トンミー氏が、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏への敵意から、まだ歯磨きをしておらず、やや臭う歯をむき出したが、その様を見てはいないエヴァンジェリスト氏は、構わず、『訳の分らない話』をiMessageで続けてきた。
====================================
「じゃけえ、製造業なんかの一般的な業種の企業の場合、『総資産』が1億円じゃったら、『売上』も1億円程度ということじゃね?」
「お、おお、せやで。アンサン、そこんとこ、知っとったか」
「となると、『自己資本』を『総資産』と比べようと(つまり、『自己資本比率』じゃね)、『売上』と比べようと、大差ないけえ、『自己資本比率』は、やっぱり有効じゃあ、いうことになるよね?」
「ああ、やっぱり、やな」
「じゃけど、さっきも説明したように、『総資産』に比して『売上』の方がずーっと大きゅうなっとる企業もあるけえ、『売上』と『自己資本』を比べるようにした方がええ、いうことなんよ」
「ああ、そうしたらええがな」
「要するに、いくら利益が出ていても、いくら売上が伸びていても、ほいで、自己資本比率が高うても、倒産する企業ああるけえ、『売上』と『自己資本』の厚みを見ることウエイトを置いて(厳密には、『自己資本』じゃのうて、『総資産』から主要債務を引いた残りじゃけえ、『自己資本+α』で、『支払い余力額』なんよ)、企業の資金繰りを見る、それまでにないモノサシ(指標)で測るようにしよういうことで、構築された分析手法が、『あらかん』(『倒産予知アラーム管理システム』)なんよ」
「おお、そういうモノサシで測ったらエエで」
「アンタもそう思うん?」
「ああ、思うで」
「アンタの場合は、『それまでにないモノサシで測る』相手は、企業じゃのうて、オナゴじゃろ?『メジャーがないけえ、ワシの腕で測ったるで』云うて、オナゴの体に密着するんじゃろ?」
「え!?なんで、知ってんのや?」
「やっぱりそうなんじゃね」
「まあ、正しゅうは、メジャーがあっても、オナゴの方から、ワテの腕で測ってえ、云うてくんのやけどな」
「で、そうやって測ると、測る対象(オナゴ)の方じゃのうて、測っとるアンタの方に(下半身に)、『異常発生!』、『異常発見!』となるんじゃろう?」
「はああ!?アンサン、また話をオゲレツに持っていって。ヤメレ、云うてるやろ」
====================================
「(ちょっと油断すると、こうだ)」
と、ビエール・トンミー氏は、視線を向けるiPhone14 Proの画面の向こうに、それまで訳の分らない『財務分析』の話をしていた友人のエヴァンジェリスト氏の顔が、笑う夜叉のごとく豹変する様が見えるように思えた。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿