「(そういえば、お酒の『松竹梅』のCMは今、誰がしているんだろう?あ、いかん、いかん。そんなことどうでもいい)」
と、ビエール・トンミー氏が、危うく友人のエヴァンジェリスト氏の術中に嵌りそうになっていると、エヴァンジェリスト氏からは、思いがけず、やや学術的なと云えなくもないiMesageが入ってきた。
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「『松・竹・梅』が、その順番での序列があるんは、確かに、その方が云いやすかったけえ、いう説もあるらしいんよ。でも、松は仙人が食べるけえ一番じゃ、とか、縁起物とされるようになった歴史の順じゃあ、いう説もあるらしいんよ。松が縁起物になったんは平安時代で、竹は室町時代、梅は江戸時代からなんじゃと」
「またデジタル・ハンターしたんやな」
「でものお、『松・竹・梅』にゃあ、元々、序列はなかったんじゃと。『鶴亀』も、『鶴』と『亀』とで、どっちも目出度いけど、どっちが上いうことないじゃろう?『鶴』は千年で『亀』は万年じゃけど、『亀』の方が上いうことはない…あ、アンタにゃ、『亀』の方が大事なんじゃろうけど。アンタの『亀』さんは、最近、ちょっと元気ないんじゃろうけど」
「ちょっと油断すると、またオゲレツや」
「ほいじゃけど、現実には今、『松・竹・梅』には序列があって、商売じゃあ、それを利用したりするんよねえ。『うな重』注文するんも、『松』でも『梅』でものうて、『竹』を注文する人が多いじゃろ?」
「ああ、せやな。ワテも『竹』を注文するで、普通」
「そういうんを『極端の回避性』とか『ゴルディロックス効果』とかいうんじゃと。『ゴルディロックス効果』の『ゴルディロックス』は、イギリスの童話の『ゴルディロックスと3匹のくま』に出てくる少女の名前なんじゃそうなんよ。『ゴルディロックス』(Gold『金』にlock『髪』いうことらしいけど、なんでか、よう分からん)は、元々は老婆じゃったけど、その童話が段々、子どものしつけ向けになるようになって、少女になったらしいんじゃけど」
「なんや、また、ごちゃごちゃと。どっちでもエエがな」
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「(おいおい。アイツ、また、どうでもいい話を始めやがったぞ)」
と、ビエール・トンミー氏は、アイツこと友人のエヴァンジェリスト氏からの退屈なiMessageが映ったiPhone14 Proの画面から視線を外した。
(続く)
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