「(そうだ、そうだ。アイツの身代金を払う、払わない、というクダラン話をしていたんだ)」
と、ビエール・トンミー氏が、ようやく動揺から脱却できそうでいると、友人のエヴァンジェリスト氏から、挑発的ながらも、むしろ結果として、ビエール・トンミー氏を『生き返らせる』iMessageが入った。
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「アンタあ、ベンツを買い換える程の金はあるんじゃろ?新しいベンツと世界でただ一人の友人のワシのどっちが大事なん?」
「そら、決まってるやろ。新しいベンツや!」
「アンタあ、そうように冷たい人間じゃったん!?ああ、『凍結』したけえなん?」
「五月蝿いで。もう、『凍結』の話はエエ。ワテ、2月に新しいベンツを注文したんや。納車は、8月やねんねどな」
「外観が新しゅうなって、強力なターボ・エンジンを搭載し、車内のシートがより快適になり、一流のクルマとなっとるん?」
「なんや、またデジタル・ハンターしたんやな」
「2月に、ヤナセの芝浦に行ったんはこの為じゃったんじゃね」
「そーや。試乗したんけど、内装は宇宙船みたいやったで」
「EVじゃないんじゃね?『MBUX スーパースクリーン』はええん?」
「ワテ、今回のEクラス購入は、『冷静に血迷って』決定したんや。ワテ、長年の念願であった新型のEクラスを購入してもた。今興奮しとる。せやから、アンサンは、今からワテの超長舌を聞かんとアカンで」
「ええー!アンタの『超長舌』!」
「なんや、文句あんのか?!いつも、アンサンのくだらんオゲレツ話に付合うたってるやろが」
「そう云われたら、ワシ、弱いのお。しょうがないのお」
「おお、観念したか」
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「(いや、観念も何も、アイツも少しは、こっちの話に付合ったってバチは当たらんだろう)」
と、ビエール・トンミー氏は、『凍結』状態が解かれた、再び、体に温もりを感じた人間のような笑みを頬に浮かべた。
(続く)
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