2017年6月26日月曜日

【ジンコウチノウ】『AI』ではなく『AH』だよ



「エヴァちゃんよ。君はロボットには興味がないようだが、『ジンコウチノウ』はどうだ?」

懲りないビエール・トンミー氏は、今日も21時過ぎに友に電話した。今日は振替休日だったが、疲れが蓄積したままのエヴァンジェリスト氏は、やや怒り気味に答えた。

「昨日も云ったはずだ。ボクは、ロボットだけではなく、『AI』にも興味はない!」
「誰が『AI」って云った?」
「君ではないか、『人工知能』と云ったのは」
「ああ、ワシだ。ワシは『ジンコウチノウ』と云った。しかし、『人工知能』とは云っていないぞ
「なんだ、それは?『タイチョー(隊長)、タイチョ-(体調)が悪いんですが。……ナニ!ワシ(隊長)が悪いだと!』といった笑えないギャグみたいなことを云うではない。ボクは、このところ、本当にタイチョ-(体調)が悪いんだから」
「だから、ワシの『ジンコウチノウ』を君に提供してやろうというのではないか」
「はあ?」
「君は、タイチョ-(体調)が悪いから、きっとアッチの方も『元気』がないであろう。ソノ気にもならんであろう
「まあ、確かに…..悲しいことだが」
「そこで、ワシから作った『ジンコウチノウでも君にやろうと考えているのだ」
「その『ジンコウチノウが何か知らんが、君からから作った、ということだけで怪しげだな。何にせよ、『AI』には興味はない!
「分らん奴だな。『AI』ではない。『AH』だ!
「『AH』?何だそれは?」
『Artificial Hentai』さ」
「『Artificial Hentai』だって?意味が分らん」
「『Artificial Hentai』……それが、『ジンコウチノウ』だ。そう、『人工痴能』だ」
「…….」
「ワシの『人工痴能』を君の脳に埋め込めば、君のアソコも『元気』百倍だ!どうだ、友よ!」





「…….『タイチョー(隊長)、タイチョ-(体調)が悪いんで、もう寝ます」




2017年6月25日日曜日

変態ロボ誕生!




「エヴァちゃんよ。今、巷では、ロボットとかAIとかが流行っているらしいではないか」
「はああ?」

21時過ぎのビエール・トンミー氏からの電話に、気のない声で答えた。エヴァンジェリスト氏は、仕事に疲れ、20時前にはもう寝ていたのに、友人からの電話に起こされてしまったのだ。

「君はまだ、現役だよな?」
「いや、最近はすっかりご無沙汰だ」
「何を勘違いしているのだ。アッチの方のことではない」
「じゃ、ドッチの方のことだ?」
「ワシはもう引退したが、君はまだ仕事をしているだろ」
「再雇用者ではあるがな」
「最近、巷では、ロボットとかAIとかが流行っていると聞くが、そうであるのか?」
「まあ、そのようであるな」
「君も、ロボットとかAIとかに関っているのか?」
「3-4年前には、ボクが取扱うプロダクトのロボット化を構想したことがある」
「実現したのか?」
「いや、していない。誰も、ボクの発想に付いてくれなかった。冗談を云っているとしか思わなかったようだ」
「まあ、君の発言はいつも巫山戯たものだからな」
「いや、先を行き過ぎていた、というか、誰もボクについてこれなかったのだ」
「では今、実現させるのか?」
「もう、ロボットには興味がない」
「え?もう、ロボットのことはどうでもいいのか?」
「ああ、悪いか?世の皆が、右を向いても左を見ても、ロボットだとかAiだとか云っている。そんなものはもうどうでもいい
「うーむ」
「皆が取り組むものに取り組んだところで、もう遅いのだ」
「うーむ」
「ロボットに興味がないとまずかったか?」
「うーむ」
「どうした?」
「うーむ」
いや、君の為に用意したものがあるのだが…..」
「何だ?」
「いや、いい」
「面倒臭い奴だな、いいから云え、何だ?」
「もういいよ」
「いい加減にしろ!何か教えろ!ボクは君の唯一人の友ではないか」
「では……ワシは、君の仕事の役に立てば、と変身した」
「変身?」
「そうだ。写真を送る」

そうして、写真がメールされてきた。


「…….」

エヴァンジェリスト氏は絶句した。

「どうだ!変態ロボだ!」
「……..やはり、ロボットはもういい……」

疲れがいや増したエヴァンジェリスト氏は、電話を切り、再び、眠りについた。





亀から鶴に【アモンダワ的発想】



「私は亀を卒業して今は鶴の心境である」

ビエール・トンミー氏が呟いた。

意味不明である。

俗に、「鶴は千年、亀は万年」と云う。亀を「卒業」した頃には、「鶴」の命はもう果てているはずではないか。



何日か前のことである。

「今の君のソレは、コブラでもマムシでもなく、鈍重な『亀』であるかもしれんな。君は、『頭』だけはいきり勃つものの、体は鈍重な『亀』であるかもしれんな」

と云うエヴァンジェリスト氏の発言に、ビエール・トンミー氏は猛烈に反発していたのであった。

「嫌だ!嫌だ、嫌だ!ワシはもう一度、『野獣』になるのだ!ワシは『亀』ではない!『亀』になりたくはない。今一度、コブラ、マムシとなり、『野獣会』を結成するのだ。そうして、●●●子先生に云ってもらいたい。You are beast!』





昨日はまた、『Alternative 8020運動』に身を投じたことを呟いていた。

「ふふ。誰も知るまい。あの特派員も勘違いしたはずだ…ワシが身を投じた『8020運動』は、『80歳になっても20本の歯を残そう』という『8020運動』ではなく、実は……『80歳になっても20歳の娘とイイコトしよう』という『運動』であったのだ。ふふふ」





『亀を卒業して鶴』となったことの意味は不明である。




『亀』がどうやらアレを象徴していることから、『変態』を卒業してなにやら『ピュア』な存在にでもなったことを象徴しているとも捉えられる。

しかし、●●●子先生に『You are beast!』と云ってもらうことを望み、『80歳になっても20歳の娘とイイコトしよう』という運動に身を投じるエロ老人なのだ、ビエール・トンミー氏は。

そんな『昇華』していくような清い人物ではない。

そこで、ビエール・トンミー氏に訊いてみた。

「どういうことなのですか?『亀を卒業して今は鶴の心境』とは」
「鶴はトライでめがかさ」
「は?」

ビエール・トンミー氏の返答は、意味不明以前に、なんと云っているのか、聞き取り不能であった。

もう一度、訊いた。

「どういうことなのですか?『亀を卒業して今は鶴の心境』とは」
「おはいあい」
「は?『鶴は千年、亀は万年』と云います。亀を『卒業』した頃には、『鶴』の命はもう果てているはずではありませんか
「おはいあい」

それ以上、ビエール・トンミー氏とは会話にならなかった。

『おはいあい』とは、何を意味す言葉なのであろうか?それは、ひょっとして、『アモンダワ』の人々の言葉なのであろうか?

時間というものの概念を持たぬとも云われる『アモンダワ』の人々の言葉なのであろうか?

エロいことしか頭にないような老人のふりをしているが、ビエール・トンミー氏は只者ではない。

ビエール・トンミー氏は、我々に問うているのかもしれない。

「時間って何なのだ」と。

ビエール・トンミー氏は、夜な夜な、『蠢いている』。

毎夜、明け方まで、エロ画像・エロ動画を見続け、ドライアイになってしまった、ただの『変態老人』であるように見せかけているし、実際、これまで見てきたエロ画像・エロ動画の数は億を超えるであろう。

しかし、ビエール・トンミー氏は、エロ画像・エロ動画を見ながら、脳のある部分は哲学をしているのだ。エロ画像・エロ動画は、その哲学的発想を喚起させる為のツールであるのかもしれないのだ

ビエール・トンミー氏は、エロ画像・エロ動画を見る一方で、『アモンダワ』の研究もしているのかもしれない。

「私は亀を卒業して今は鶴の心境である」

と呟くことで、我々に

「時間って何なのだ」

と、問うているのかもしれないのだ。

しかし、『時間って何なのだ』と、直接的な表現をすることは、しないのだ。

ビエール・トンミー氏は、『I love you!』と直接的表現で唄うような歌手を、そんな歌を好きではない。それは恥ずかしいことなのだ。

『I love you!』を『I love you!』と云わず表現することが、『歌』であり、『文学』であるのだ。

ビエール・トンミー氏は、そう思っている。

恥というものを知るビエール・トンミー氏は、だから云うのであろう。

「おはいあい」

と。







2017年6月24日土曜日

『運動』に身を投じる!【ビエール・トンミー氏の決意】




「ついに、『巨星』が動き始めました」

特派員は興奮気味に報告した。

「アイツが『巨星』かなあ?『去勢』されてしまった干からびた老人だと思うがなあ」

エヴァンジェリスト氏は、信じ難い、と口をへの字に結び、首をゆっくり左右に振った。

「ビエール・トンミー氏は、ついに『運動』に身を投じたのです!」
「アイツは、政治とか信条とかからは遠い奴だと思っていたのだが….」

毎朝、『羽鳥慎一 モーニングショー』を録画までし見る程、友が、世の動きに関心を抱いていることは知っていた。

しかし、友であるビエール・トンミー氏の本性は、夜な夜な、明け方まで、エロ画像・エロ動画を見続け、ドライアイになってしまった、ただの『変態老人』であるはずなのだ。

「いえ、間違いなく『運動』に身を投じたのです!『8020運動』に」

特派員は興奮気味に報告を続けた。

「何なのだ、その『8020運動』とは?」
「ビエール・トンミー氏は、ご自分の部屋に『8020運動』と書かれたポスターを貼り、口を『イーッ』と開け、ニンマリしていました」
「だから、何なのだ『8020運動』とは?」

勿体をつける特派員にイライラしてきた。

「へへーっ。『80歳になっても20本以上自分の歯を保とう』という運動です」




特派員は、嘘を報告したのではなかったが、嘘がバレた時のようにヘラヘラとした態度をとった。エヴァンジェリスト氏をからかってやった、と勝ち誇っているようでもあった。

「なんだ、そんな運動か。アイツが本当にそんな『運動』に身を投じたのか」
「本当です。仕事もリタイアし、オープンカレッジに通い、『西洋美術史』を学ぶくらいしかすることのない老人が、新たな生きがいを見つけたのです」
「まあ暇な奴だからなあ。しかし、アイツがただただ『運動』に参加するとは思い難い」
『歯周病は様々な病気の元と知り、一所懸命、歯垢を取り除いて少しでも長生きしたい』と仰っていました」
「それ、本当かなあ?それは表向きの理由で、本当の理由は歯医者での定期健診で歯科衛生士のお姉さんに『綺麗な歯ですね』と褒められただけのことではないのか?」
「まあ、確かにエロ爺ですからねえ」
「或いは、アイツが取り除こうとしているのは、『歯垢』ではなく『恥垢』ではないのか?」
「そう云われると、ビエール・トンミー氏のアソコは、チーズのような臭いを発し、いつもこちらの鼻がひん曲がりそうになりますからねえ」

エヴァンジェリスト氏と特派員がそんな会話をしている頃、ビエール・トンミー氏は、『8020運動』と書かれたポスターを見ながら、ニンマリしていた。

ビエール・トンミー氏は、呟いた。

「ふふ。誰も知るまい。あの特派員も勘違いしたはずだ….」

そうなのであった。ビエール・トンミー氏が身を投じた『8020運動』は、『80歳になっても20本の歯を残そう』という『8020運動』ではなく、実は……『80歳になっても20歳の娘とイイコトしよう』という『運動』であったのだ。

ビエール・トンミー氏は、『去勢』されてしまった干からびた老人ではないのだ。彼は年老いても未だなお『巨星』の持ち主であるのだから。



2017年6月23日金曜日

【野獣会、再び?】六本木に『ケダモノ』、現る!(その16=最終回)




「ふふん、『人間亀』だって?くだらん」

友から、『人間鹿』に加えて、『人間亀』なる存在が出現したと聞き、ビエール・トンミー氏は、一笑に付した。

「いや、『人間亀』である後輩のヒルネン本人はいたって真剣なのだ。亀は『野獣』ではないのか、と悩んでおるのだ」

エヴァンジェリスト氏は、反論した。

「くだらん、くだらん、実にくだらん」
「もし、亀が『野獣』ではなかったとしても、ガメラのようになれば、『野獣』として認められてもいいのではないか、と主張している。亀だって、『野獣』になりたいと思っていると思う、と泣きそうになりながら云うのだ」
「いいか、『人間亀』なんて、特別な存在ではないのだ」
「いや、『人間亀』という者がいようとは、ボクは思っていなかった」
「男は皆、『人間亀』だと云っていいのだ。ワシだってそうだ」
「はあ?」
「正確には、ワシは『亀』を持っているというか、『亀』の頭を持っているのだ」
「ああ、そういうことか。君は相変らずくだらんことを云う奴だな」
「ワシのソレは、かつて『野獣』であった」
「ああ、かつて『原宿の凶器』とも呼ばれていたのだろ」
「そうだ、コブラまたはマムシと呼ばれ、口から『白い炎』を吐き散らしていたものだ。ハハハハハ!!!」




「コブラ、マムシって、ヘビだぞ。『亀』ではないぞ。君は『人間亀』ではないではないか」
「うっ……」
「しかも、今の君のソレは、『○○の小器』となってチンマリしているではないか」



「ああ、そうだ…..『白い炎』を吐くことも稀となった。しかも、その『炎』に勢いはなくなってしまった……」
「そうだな。今の君のソレは、コブラでもマムシでもなく、鈍重な『亀』であるかもしれんな。君は、『頭』だけはいきり勃つものの、体は鈍重な『亀』であるかもしれんな」


「嫌だ!嫌だ、嫌だ!ワシはもう一度、『野獣』になるのだ!ワシは『亀』ではない!『亀』になりたくはない。今一度、コブラ、マムシとなり、『野獣会』を結成するのだ。そうして、●●●子先生に云ってもらいたい。You are beast!』

くだらない老人たちの会話は続き、一方、六本木では、今夜も、『ケダモノ』になりたい若者たちが六本木を彷徨っているのであった。


(おしまい=『蛇』足でした)








2017年6月21日水曜日

【野獣会、再び?】六本木に『ケダモノ』、現る!(その15)




「人間亀は、外国人に声を掛け、一緒にホテルに行き、そこで『レッスン』を受けようといているのです。英語を会得するには、『ピロー・トーキング』が一番だと思いでもしているのでしょう」

という特派員の報告を受け、エヴァンジェリスト氏が応えた。

「あ~。キミは相変らず何も分っていない」

エヴァンジェリスト氏は、クネクネと首を振った。「呆れたよ」という素ぶりであった。




「君は、アイツが英会話力を身に付けようと、『YOU』に声を掛けていると本気で思っているのか?」

六本木の特派員に問うた。

「そうではないのですか?それに、アイツって仰いましたが、人間亀とはお知合いですか?」
「ああ、多分、アイツであろう」
「アイツとは、誰なんですか?」
「云えぬ。ワシは、個人情報を守る男なのだ」
「貴方の口から、個人情報を守る、というセリフが出ようとは思いもしませんでした。貴方程、他人の個人情報を……」
「まず間違いなくアイツだ。アイツは、『野獣』に憧れていたのだ」
「へ?『野獣』?何なんですか、それは?」
アイツは、『野獣会』に入りたいのさ。復活したと噂されている、あの『野獣会』に」

特派員のくせに、『野獣会』復活の噂も把握していない特派員に、エヴァンジェリスト氏は、丁寧に説明したやった。


=====================

昭和30年代、田辺靖雄を中心として、ムッシュかまやつ、井上順、中尾彬、峰岸徹、小川知子、大原麗子らをメンバーとした遊び人のグループがあった。それが、『野獣会』だ。

その伝説の『野獣会』が復活したという噂がある。

そして、その『野獣会』に入るには、『YOU』に『ケダモノ』に認定される必要があるとされているのだ。

若き人間亀は、エヴァンジェリスト氏に云った。

「亀だって、『野獣』になりたいと思っていると思うんです!」

会社の昼休み、若い後輩に唐突に訴えかけられ、エヴァンジェリスト氏は戸惑った。

「もし、亀が『野獣』ではなかったとしても、ガメラのようになれば、『野獣』として認められてもいいにではないでしょうか?亀だって、『野獣』になりたいと思っていると思うんです!

若い後輩の熱に気圧されながらも、エヴァンジェリスト氏は、年の功で逆襲した。

「君は一体、何者だ?何を企んでいるのだ?君は亀なのか?『野獣』になりたいのか?

しかし…..

「ノーコメントです。ノーコメント!事務所を通して下さい!」

そういうと、後輩は、いつもの昼休みのように、机の下に足を投げ出し、椅子に背中滑らせ、寝そべって、首を縮め、机の下に隠したのであった。そう、亀のように。


=====================


「そうなのだ。アイツなのであろう。アイツは、亀が『野獣』になることを欲していた。しかし、アイツが亀であるかどうかまでは分っていなかった。アイツは一見、普通の人間なのだ」
「しかし、お分かりになったのですね。私の報告で。人間亀が六本木に現れ、『YOU』に『Why did you come to Japan?』と声を掛けているとお聞きなって、それが、その『アイツ』であると」


「その通りだ。アイツは、英語の『レッスン』を受ける必要はない。今のところ、アイツは英語を使ったビジネスに関係はしていないのだ。アイツが、『YOU』に声を掛け、一緒にホテルに行こうしているとしたら、そこで『YOU』に『You are beast!』と云わせることができれば、『野獣会』入りが認められると思っているからであろう」
「その『アイツ』は、『野獣』になれたのでしょうか?」
「知らぬ。アイツが人間亀らしいことを今、知ったばかりではないか」


そうなのである。エヴァンジェリスト氏は、会社の若き後輩ヒルネンがどうやら人間亀であるらしく、『野獣会』入りを目指しているらしいと知ったばかりなのである。

人間亀ことヒルネンが、『ケダモノ』になることができ、『野獣会』入りの願望が叶ったのか、多分、まだ誰も知らない。

いや、そもそも六本木で『野獣会』が復活したというのは本当なのかどうかも定かではなかった。

確かなのは、『野獣会』復活の噂があり、それを聞きつけた若者たちが、『野獣会』入りを目指し、『ケダモノ』となるべく、六本木に集って来ているということであった(『YOU』にホテルのベッドの上で、『You are beast!』と云ってもらうのだ)。

松葉杖をついた骨折男(足だけでなく、アソコも骨折)や人間亀たちである。

そして、今夜もまた、『ケダモノ』になりたい新たな若者たちが六本木を彷徨っているのかもしれない。




(続く……..え?まだ続くの。『野獣会』ネタは、もう飽きたんだけど)






2017年6月20日火曜日

【野獣会、再び?】六本木に『ケダモノ』、現る!(その14)



「亀です!そう、紛うことなく、それは亀でした」

六本木の特派員からエヴァンジェリスト氏への報告だ。

「驚くじゃあ、あーりませんか。亀が夜の鳥居坂にいたんですよ」

かなり興奮している。

「亀がどこにいてもカメへんのですが、ただの亀ではないのです。写真をお送りします」



       

おお、これは!

「そう、人間亀です。噂にも聞いたことはなく、見るのは初めてです。突如、六本木に出現です。ミドリガメなら驚きませんが、もっと大きな亀なのです。それも人間亀なのです」

エヴァンジェリスト氏も驚いた。驚いたが、同時に、

「そうだったのか」

と合点のいくところもあった。

「アイツだ。アイツだな」

エヴァンジェリスト氏は思い出した。

「亀は『野獣』でしょうか?」

と問い、

「亀だって、『野獣』になりたいと思っていると思うんです!」

と悲痛な叫び声を上げた後輩のことを思い出した。

「亀は、『レッスン』を受けに六本木に来たのです」

熱意があるというよりも痛々しいというべき後輩の叫びを思い出しているエヴァンジェリスト氏に、特派員は報告を続けた。


「『YOU』系の『レッスン』です」
「『YOU』系の?」
「『YOU』ですよ。『YOU は何しに日本へ?』の『YOU』ですよ」
「外国人のことだということくらい分っている」
人間亀は、六本木にいる外国人に『Why did you come to Japan?』と話しかけているのです。テレビ東京の番組の真似っこ遊びをしているのではありません」
「そんなことは分っている」
「え?人間亀のことをご存じなのですか?」
「人間鹿がいるのだから、人間亀がいても不思議ではない」
「とにかく人間亀は、外国人に声を掛け、一緒にホテルに行き、そこで『レッスン』を受けようといているのです。英語を会得するには、『ピロー・トーキング』が一番だと思いでもしているのでしょう」
「あ~。キミは相変らず何もわかっていない」

エヴァンジェリスト氏は、クネクネと首を振った。「呆れたよ」という素ぶりであった。


(続く)