エヴァンジェリスト氏は、首を捻った。
「アイツ、何云ってんだ?」
そう、唯一人の友であるビエール・トンミー氏から、意味不明なメールが来たのだ。
「君は、朝食と夕食の時に、キチンと野菜を摂っているそうだが、そんなことしていいのか?」
若い頃はスリムでハンサムだったが、今はそれも見る影がなくなったので、痩せることはなくとも、これ以上太らぬように、妻が朝食と夕食の際に忘れず野菜を出してくれる。
健康の為になることなのに、『そんなことしていいのか?』と問われても何と反応していいか、分からない。
友は更に、こうも問うて来た。
「君は月曜日から金曜日まで毎日、最寄り駅近くまで自転車に乗っているらしいが、そんなに『常用』していいのか?君も歳だから、『タツ』為に自転車に頼ることは、同い年の者として、理解できないものではないが」
駅までバスに乗ってもいいのだが、再雇用の給料は悲惨極まるものだ。
出来るだけお金は使いたくない。だから、自転車に乗っているのだ。
『タツ』為に自転車乗っているのだろうが、と決めつけてきているが、意味不明だ。
自転車に乗らないと、体を『タテテ』いることも、ままならない、とでも思っているのだろうか。
最後の質問は、もっと意味不明というか、不可解なものてあった。
「君は、アレを尻の間に挟んで運ぶことがあるらしいが、本当にそんな真似をしているのか?」
いや、正直に云うと、以前、大阪出張した際に、難波で便意を催し、堪らなくなった時、穴から少しだけ頭を出したアレを尻の間に挟んでトイレまで運んだことはある。かなり難しい行為であり、その時履いていたパンツは、結局、トイレの個室内のサニタリー・ボックスに棄てた。
しかし、そのことは、妻にも子にも誰にも話したことはない。俺だけの秘密なのだ。
どうして友はそれを知っているのだ?
「尻の間に挟んで運んだものを君は『パケ』に詰め、害虫退治のスプレー缶の中に20個くらい隠しているというのは本当か?」
アイツは本当にどうかしている。尻の間に挟んで運んアレを『パケ』に包むなんて、検○でもあるまいし。ま、エヴァンジェリスト氏は、『パケ』って何のことか知らないのであったが。
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エヴァンジェリスト氏が友からのメールに首を捻っている頃、ビエール・トンミー氏は、顔だけを仰向け、眼科で処方してもらった医療用目薬をかざし、先ず、左目にさした。
キーン!
エロ画像に疲れた眼に点滴すると、そう、『キーン』と眼球全体に染み渡るのだ。この快感は何事にも代え難い。
ビエール・トンミー氏は、思った。
「目薬は俺にとっては『シャ○』である。俺は、立派な『シャ○』中毒である」
キーン!
今度は、右目に点滴した。
エロ動画にも疲れた眼に、医療用目薬は、染み渡った。
(参照:【目薬で逮捕?】快感の点眼(前編))
(参照:【目薬で逮捕?】快感の点眼(中編))
(参照:【目薬で逮捕?】快感の点眼(後編))
「そうだ、『ドナルド』にしよう。『目薬禁止法』が成立したら、闇で調達の際に、目薬の隠語に『ドナルド』を使おう」
変態老人は、一人、悦に入っていた。