「緊急情報です、ビエール様」
久しぶりに忍者の報告だ。
「引退する、と云っています」
ああ、アイツだな。
「ええ、そうです。エヴァンジェリスト氏です」
この忍者は、他人の心読む困った奴だ。
「この歳だし、ここまでイケメンとしてやってこれたし、もう終りにする。(中略)人生の終りではないが、イケメンの終りだ」」
口頭の報告で「中略」はないだろうが、要は、エヴァの奴は、アラン・ドロン気取りなのだ。
「ビエール様ならともかく、自分のことをイケメンとは烏滸がましいと思います」
「まあ、俺ほどではないが、アイツも相当なイケメンではあるからなあ」
「放っておいていいのですか?」
「では、俺からだ、と云ってやれ、『ドロンと消えろ!』とな」
「ははーっ」
忍者は、ドロン!と消えた。
0 件のコメント:
コメントを投稿