「本当なのです。トンミー氏は確かに云ったのです。『俺は、タツ!』と」
特派員が、このところ不機嫌なエヴァンジェリスト氏に報告すると、
「そんなはずはない!口だけだ。アイツももう歳だ。今更、タツことなんかあるものか!」
と、エヴァンジェリスト氏は、吐き捨てるように云ったのであった、
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「そんなはずはない!口だけだ。アイツももう歳だ。今更、タツことなんかあるものか!」
興奮して、両の口の端に泡を溜めたエヴァンジェリスト氏に、特派員は説明をしようとした。
「いえ、タツと云っても.....」
しかし、エヴァンジェリスト氏の興奮は収まらない。
「ああ、タツと云っても、どうせ半勃ちだろうよ」
泡を溜めた口の右の端を微妙に上げ、皮肉な笑いを浮かべた。
「奴は、毎夜毎夜、蠢いている、と云っているが、ああ、ただフニャフニャと老蛇のようにクネっているだけだろう。鎌首を持ち上げようとしても、20度くらい上がるだけだ。どんなエロ画像を見てもな。ただ、眼を疲れさせるだけで、その結果が、眼科通いだ」
実のところは、嫉妬から暴言を吐いているに過ぎず、エヴァンジェリスト氏は、自身の舌鋒が鋭過ぎていることを知らなかった。
ピエール・トンミー氏が聞いていたら、深夜、自分の部屋を友が覗いたのかと思ったであろう。
「眼科通いだって、美人眼科医やエロ看護師目当てだろうよ。最近、太ももムチムチの元カノのアグネスに迫られちゃって、等と云っていたが、妄想だ。確かに奴は、若い頃、俺ほどではないが、女の子たちを惑わらせてはいた。しかし、今のアイツは、ただのエロ爺だ。今は、●●●子先生とやらにぞっこんらしいが、相手にされる訳がない。仮に●●●子先生が『どうか、お相手を』と云ってきたところで、アイツは半勃ちで役には立たないさ。ハハハハハ!」
エヴァンジェリスト氏は、勝ち誇った笑いでようやく落ち着きをみせた。
「仰ることは、殆どその通りだと思いますが、一点だけ違っているのです」
特派員はようやく口を挟むことができた。
(続く)
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