「オッカーノウエ…..」
鼻歌を口ずさみながら、老紳士が眼科から出てきたのであった。
身なり佇まいはダなンディな、一見、大学教授風のその老人が通う眼科の医師は、『トシ江先生』と呼ばれる美人の女医さんだ。
友人のエヴァンジェリスト氏にどこか似た『トシ江先生』には興味はないが、若干『興奮』はしてしまう。
それをあの女は見逃さない。看護師の女だ。
その看護師は、何故か自分に敵意を抱いている、と老人は感じる。敵意ある視線を自分に送ってくるのだ。
(参照:【目薬で逮捕?】快感の点眼(前編))
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あの看護師は、何故か俺に敵意を抱いている、と俺は感じる。敵意ある視線を俺に送ってくるのだ。
「この助平爺!知ってるんだぞ、お前は昔から助平だ。少なくとも高校時代には助平になっていたじゃないか」
その視線から、何故か、そう云っている声が聞こえて来るのだ。
あの看護師は、俺の高校生時代を知っているのか?
いや、そんなはずはない。
あの顔に、いや、あの太ももに見覚えがなくはないような気はする。童顔とはアンバランスなムッチリした太ももには、頬ズリしたはずはないとは思いつつも、そうしたような懐かしささえ覚えた。
だが、まだ30歳前後の看護師と還暦を過ぎた俺との間に接点はない。
過去に俺は、何人もの女をなかせてきた。泣かせた女も、哭かせた女もいる。
その数は多過ぎて、一人一人のことを覚えてはいないから、或いは、どこかで哭かせ、泣かせたことでもあるのだろうか?
太ももムッチリの看護師は、点眼する際に、これもムッチリの胸を押し付けてくる。
余り近付き過ぎると、点眼し辛いと思うが、胸が大きいから必然的に近付いてしまうのかもしれない。
或いは、敵意は反面、関心であり、無意識のうちに俺の興味を惹こうとしているのかもしれない。
俺の方も、敵意であれ、関心であれ、ムッチリな胸を押し付けられて嫌ではない。
正直に云おう。『興奮』はしてしまうのだ。看護師よ、君は正しい。確かに、俺は助平だ。
そもそも、眼科に通っていることそのものが、助平のなのせる技なのだ。
眼科に通っているのは、ドライアイだからであり、その原因は目が乾燥に敏感で涙が少なくなってきている……ということになっているが、本当の原因は別にあるのだ。
パソコンで長時間エロ画像を瞬きもせず注視しているのが、本当のドライアイの原因である。
『トシ江先生』は、この本当の原因を知らない。私の理知的な姿から、きっと学術書を読み過ぎた為に目が乾いたとでも思っていることだろう。
しかし、看護師は俺の本性を見抜いているようだ。
「この助平爺。そのあご髭からしてイヤラシイ」
看護師の視線は明らかにそう云っている。目は口ほどに物を云う、とは正しいのだ。
俺は、深夜のエロ画像に『興奮』する。
『トシ江先生』の美貌に『興奮』する。
看護師の太ももと胸に『興奮』する。
看護師の敵意の視線にすら『興奮』するのだ。
(続く)
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