(参照:アメリカに自由はあったか(その12)【米国出張記】の続き)
目を覚ますと、先ず、「う○こ」をした。
前日のロサンザルスの「(Compri)Hotel」とは違い、ニューヨークのホテル「Grand Hyatt New York」では、「う○こ」は無事、流れ、トイレも詰まることはなかった。
「(Compri)Hotel」が悪かったのではない。エヴァンジェリスト氏がいけないのだ。多分、トイレットペーパーを使い過ぎたのだ。
「お尻の穴の付近についたもの」を念入りに拭き過ぎたのだ。
その日は、トイレットペーパーの使い方、トレイの流し方を考えた。
拭くべきものはきちんと拭かないといけない。そうしないと、パンツにそれがついてしまうではないか。
だから、少しトイレットペーパーで拭くと、一旦、トイレの水を流した。その上で、更にトイレットペーパーで拭き、もう一度、トイレの水を流したのだ。
1989年6月23日(2017年の今から28年前のことだ)の朝のことであった。
午前6時、エヴァンジェリスト氏は、目覚し時計の音で目を覚ました。
眠い。それはそうだ。2時間程しか寝ていないのだ。しかし、7時に、上司とサンペイ先輩とロビーで待合せだ。
前夜(というか、ほんの2-3時間前)、「おにぎりと味噌汁」とそれから2-3杯のコークしかお腹に入れていないので、「う○こ」が出るかどうか心配であった。
朝に「う○こ」をしておかないと、日中に「う○こ」をしたくなるかもしれない。
しかし、ここは海外だ。生活の要領の分らないニューヨークだ。もよおした時、どこでトイレを使えるか分らない。だから、朝の内にトレイを「う○こ」を済ませておく必要があったのだ。
お腹の中に入ったものは少なかったが、しかし、毎朝、「う○こ」をする習慣が体にも染み付いていたのだろう。「う○こ」は無事に出た。
そして、トイレを詰まらせることもなかったのだ。
ようやくまともな旅(出張)になってきた。エヴァンジェリスト氏は、ホッとした。
そうして、シャワーを使い、歯磨きもし、着替えて、7時少し前にロビーに降りた。
上司もサンペイ先輩もまだ来ていなかった。
出すべきものを出し、汗も流したので、寝不足ではあったが、快適な朝であった。
しかし、エヴァンジェリスト氏は、程なく、この「世界一周の旅」(世界一周の出張)は、苦難の旅であることを再認識させられることになるのである。
時計が7時を回っても、上司もサンペイ先輩も来ない。
まあ、昨晩遅くまで(いや、今日の未明まで)飲んでいたのだから、多少は遅れるさ。
しかし、7時10分になっても、まだ来ない。少し心配になって来た。
だが、7時20分になり、
「よ、おはよ!」
サンペイ先輩が現れた。上司はどうした?
「あの人(上司のことだ)、まだ寝てるよ」
「え?」
「先に行ってくれ、って云うから、先ず、俺のアパートまで行こう」
サンペイ先輩のアパートメントは、その日の訪問先(米仏合弁の提携先企業)のオフィスに向う電車の途中にあるのだ。
「俺、アパートで、シャワー浴びて、着替えたいから。アパート着いたら、あの人にまだ電話するさ」
上司たるものが、この体たらくは何なんだ、と思ったが、まあ、提携先企業訪問までに来てくれればいい。まだ、時間はある。サンペイ先輩は、自分のアパートに立ち寄ることを計算して、朝7時という早めの時間で待合せたのだ。
こうして、サンペイ先輩とエヴァンジェリスト氏とは、グランド・セントラル駅から電車に乗った。
7時台であったが、電車には通勤客が少なからずいた。海外で、通勤電車に乗っていることが、なんだか不思議であった。
今回の海外出張は、エヴァンジェリスト氏にとってまだ2回目であったが、海外で通勤電車に乗るには初めてであったのだ。
ニューヨークの前に行ったロザンゼルスでは、移動は総て自動車であった。
初の海外出張であったトロントでも、移動は総て自動車であったのだ。
しかし、あの時、自分が別の判断をしていれば、自分もニューヨークで毎日、通勤電車に乗っていたんだろうなあ、とアメリカ人通勤客を見ながら、感慨にふけった。
あの時、自分が別の判断をしていれば……..
(続く)
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