「ん、もう、もう!私は、エクセルのファイルのアイコンだけ変えたいんですう」
と云うJANAのスチュワーデス(CA)に、ビエール・トンミー氏は、
「えへん!それは可能です!」
と、生やしていないカイゼル髭を撫でるような仕草をして答えた。
「ああ、それはですなあ。先ず、[マイドキュメント]を開き、[ツール]メニュー→[フォルダオプション]をクリックし、次に、[フォルダ オプション]ダイアログボックスが表示されたら、[ファイルの種類]タブをクリックし、[登録されているファイルの種類]ボックスから変更するファイルの種類を選択するんです」
自分でも感心するくらい、スラスラと解説していたが、
「ドン!」
と飛行機の床が鳴った。
スチュワーデス(CA)が片足を上げ、思い切り、それを床に落としたようであった。
「ん、もう、もう、もう!いい加減にして下さい!そんなこと知ってますう!でも、誰がそんな面倒臭いことをするんですか!」
「いや、まあ…..」
ビエール・トンミー氏は、自身の甘さを思い知らされた。
「そんなこと知ってますう!でも、誰がそんな面倒臭いことをするんですか!それに、そんな面倒臭いことをしても、エクセルのファイルのアイコンがみーんな同じアイコンに変っちゃうじゃないですか!」
スチュワーデス(CA)は、畳み掛けてくる。
「それはまあ、そういうもので……」
「私が変えたいのは、自分のフライト・スケジュールを入れたエクセルのファイルのアイコンだけなんですう」
なんだ、そういうことか。それならそうと、先に云ってくれればいいのだ。
「ああ、それはですねえ」
ビエール・トンミー氏は、今度は、生やしていない顎髭を撫でるような仕草をして、徐に口を開いた。
「先ず、貴女のそのエクセル・ファイルのショート・カットを作成して….」
しかし、落ち着いた口調のビエール・トンミー氏の解説は、
「ドン!」
という飛行機の床の音に再び遮られた。
「ん、もう、もう、もう、もう!いい加減にして下さい!そんなこと知ってますう!でも、誰がそんな面倒臭いことをするんですか!」
「いや、まあ…..」
ビエール・トンミー氏は、自分が人工甘味料『スクラロース』よりも甘かったことを思い知らされた。
(続く)
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