「はい、これえ」
と、JANAのスチュワーデス(CA)は、恋人に何か物を渡す時のように、腰を突き出し、腕をぐっとそり返る程に伸ばし、メモをビエール・トンミー氏に差し出した。
メモには、『090-….』という番号が書いてあった。そして、
『今晩は、福岡JANAホテルに泊まるの。PCも持って来ているわ』
とも書き添えてあった。
そうか、福岡に出張するところなんだ。今、初めて認識した。しかし、もうリタイア(退職)したのに、何故、出張しているのだろう…..
と、ビエール・トンミー氏が、またまた眉間に疑問を浮かべようとしていると、
「うふっ....」
と、微かな声というか音が聞こえた。
スチュワーデス(CA)の両頬にはエクボもできていた。
「かわいい!」
ビエール・トンミー氏は諒解した。スチュワーデス(CA)の『覚悟』が何であるのか、諒解し、スチュワーデス(CA)に笑顔を返したが、
「ふん!」
と、スチュワーデス(CA)は顔を背けて前方席の方に去って行ったのであった。
「ふん!」
というスチュワーデス(CA)の態度も、ビエール・トンミー氏は、もう気にならなくなっていた。
その態度は、小学生が好きな子に態と意地悪をする時のそれであったのだ。
それよりも気になったのは自身の股間であった。
『090......今晩は、福岡JANAホテルに泊まるの。PCも持って来ているわ』
というメモのことが頭から離れなくなっていたのだ。
今夜、自分は、福岡JANAホテルに行くのであろうか?福岡JANAホテルのスチュワーデス(CA)の部屋に行くのだろうか?
「いや、ボクには妻がいる。10歳も年下の可愛い妻がいる」
そう思ったが、股間の意思は、その思いに反したものとなっていた。
「どうでもいいから、教えてよ!シテよお。入れてよお!」
スチュワーデス(CA)の言葉が頭に、いや股間に響いていた。
「そうだ。『入れる』のだ!ふふ。『いきなりPDF』を彼女のPCに『入れて』上げる為に、彼女の部屋に行くだけなのだ。ふふ」
ビエール・トンミー氏は、北叟笑んだ。
その時であった。
「ドドーンッ」
機体が揺れた。大きく揺れた…….
(続く)
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