「あのスチュワーデス(CA)めえ!」
と、誰にも聞こえぬ程の声で呟くと、ビエール・トンミー氏は、薬指を自らの口に持っていった。
Winows PCのキーボードに付いたJANAのスチュワーデス(CA)が飛ばした泡状の唾を薬指で掬っていたのだ。
「どうしてWindowsって、まめに終了させないといけないんですか?!!!」
と、責めるスチュワーデス(CA)の唇を瞼の裏に浮かべていた。
「ああ……」
俺は、あのスチュワーデス(CA)に囚われ始めている。
そう思った時であった。
「Windowsって、どうして、テン・キーに『=』がないんですか?!」
またまた、席の横から、質問というか、詰問が飛んで来た。あのスチュワーデス(CA)だ。
まだいたのか!
「ああ…っ...」
ビエール・トンミー氏が口から発したものは、声ではなく、喉が詰まった音のようなものであった。
「Macのテン・キーには、『=』があるんですってよお!」
確かに、Windowsのテン・キーには、『=』がない。それが普通だと思っていた。でも、そう云われれば、iMacのテン・キーには、『=』があるのを見たことがある。
「Excelでは頻繁に『=』を使うのよお!それなのに、いちいちShittを押して『=』を使うのは面倒臭いじゃなの!」
ああ、そうだ。自分も、面倒臭いとは思っていた。
「テン・キーに、『=』がないのは、不合理ってものよお!!!!!」
と叫ぶ口から、スチュワーデス(CA)はまた、唾を飛ばし、飛ばした唾はまた、泡状になり、ビエール・トンミー氏にWindows PCのキーボードに付着した。
ビエール・トンミー氏の右手が、再び、キーボードに伸びた。
(続く)
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