2017年12月13日水曜日

「Windowsですか?」(その21)[流涎のビエール・トンミー氏]



「あのスチュワーデス(CA)めえ!」

と、誰にも聞こえぬ程の声で呟くと、ビエール・トンミー氏は、薬指を自らの口に持っていった。

Winows PCのキーボードに付いたJANAのスチュワーデス(CA)が飛ばした泡状の唾を薬指で掬っていたのだ。

「どうしてWindowsって、まめに終了させないといけないんですか?!!!」

と、責めるスチュワーデス(CA)の唇を瞼の裏に浮かべていた。

「ああ……」

俺は、あのスチュワーデス(CA)に囚われ始めている。

そう思った時であった。






「Windowsって、どうして、テン・キーに『=』がないんですか?!」

またまた、席の横から、質問というか、詰問が飛んで来た。あのスチュワーデス(CA)だ。

まだいたのか!

「ああ…っ...」

ビエール・トンミー氏が口から発したものは、声ではなく、喉が詰まった音のようなものであった。

「Macのテン・キーには、『=』があるんですってよお!」



確かに、Windowsのテン・キーには、『=』がない。それが普通だと思っていた。でも、そう云われれば、iMacのテン・キーには、『=』があるのを見たことがある。

「Excelでは頻繁に『=』を使うのよお!それなのに、いちいちShittを押して『=』を使うのは面倒臭いじゃなの!」

ああ、そうだ。自分も、面倒臭いとは思っていた。

「テン・キーに、『=』がないのは、不合理ってものよお!!!!!」

と叫ぶ口から、スチュワーデス(CA)はまた、唾を飛ばし、飛ばした唾はまた、泡状になり、ビエール・トンミー氏にWindows PCのキーボードに付着した。

ビエール・トンミー氏の右手が、再び、キーボードに伸びた。



(続く)



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