2018年10月13日土曜日

【50,512】マダム・トンミー、夫を救う[その1]




「ゴー!」

驚いて目を開けた。そして、マダム・トンミーは、ベッドに体を横たえたまま、片肘をつき、背後に頭を回した。

「アータ…..」

夫であった。夫が寝ていた。夫は、汗をかいていた。酷い寝汗であった。


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「ただいま…….」

ドアを開け、か細い声でそう云った。



玄関で靴を脱いでいると、

「ああ、ビエールかい?」

母親だ。靴を履き直して、外に出ようかと思った。

「アータ!」

背後から妻が声をかけてきた。

「あ…..ああ…..」
「どうするのよ!?」
「あ…..ああ…..」
「今日、大丈夫なの?」
「あ…..ああ…..いやあ、そのお…..」
「お母様、楽しみにしてらしてよ」

上がり框に尻をつき、項垂れた。


(続く)


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