(住込み浪人[その133]の続き)
「ところが、ヒロニさん。プロデューサーから緊急指令です!」
EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』の司会者の一人、ナンカイノー・アメカイノーが、もう一人の司会者ヒロニに、困った様子で告げた。
「なんなんだよお?もう勝負はついたんだぜ」
というヒロニの言葉に、『サトミツ』も頷いた。
「(そうだわ。アナタの美貌と知性は認めるけど。んぐっ!)」
『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』は、敵である、いや。敵であった『住込み浪人』ビエール・トンミー青年を見遣った。
「プロデューサーからの指令は、スペシャル・チャレンジです!」
ナンカイノー・アメカイノーが、プロデューサーからの指令書を読み上げた。
「なんだよ、スペシャル・チャレンジって?」
ヒロニも、司会者ではあったが、何も知らされていないようだ。
「追加の問題です!」
「え?それはないんじゃないの?もう勝負はついたんだぜ」
「『サトミツ』と『住込み浪人』ビエール・トンミー君の一騎打ちです!」
「(え?アタシとカレとの一騎打ち?)」
『サトミツ』は、唖然という文字を書いたかのような顔になっていた。
(続く)
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