(住込み浪人[その151]の続き)
「あれ、ひょっとしてビエール君?」
OK牧場大学の『住込み浪人』用の『寮』の共同台所で、『住込み浪人』二人に漢字の書き取りの指導をしていた女子学生が、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の気配に気付き、台所の入口の方に顔を向けた。
「(マズイ!)」
何が『マズイ』のかは分らなかったが、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、踵を返して、OK牧場大学の『住込み浪人』用の『寮』の共同台所から去った。
「(どうして…..どうして、ここに『サトミツ』がいるんだ?)
そうだ。『住込み浪人』二人に、漢字の書き取りの指導をしていたのは、クイズ番組『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』であったのだ。….少なくとも、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年にはそう見えた。
「(しかも、『サトミツ』は、どうしてボクを知っているのだ?)」
『住込み浪人』は、現役の大学生から指導を受けることになっており、それも必ずしも『寮』のある大学の学生からと決められている訳ではなかったので、『テイトー』(帝立大学東京)の学生が指導に来ていても不思議ではなかった。
「(でも、ボクは未だ『サトミツ』に会ったことはなかったはずだ)」
実は、会ってはいたが、いつもテレビのブラウン管越しであったのだ。『テイトー王』に出演している『サトミツ』を見ては、勝手に『んぐっ!』していたのだ。
「(『サトミツ』は、ボクが『んぐっ!』していることは知らないはずだ)」
と思ったが、なんとなく見透かされているような気がして、共同台所を立ち去ったのだ。
「(それに、『サトミツ』は、『ひょっとしてビエール君?』と云った)」
とうことは、『サトミツ』は、ソレを知っているのかもしれないのだ。
(続く)
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