(住込み浪人[その154]の続き)
「綺麗だった…..ああ、女子大生はいい。綺麗だ。特に、『サトミツ』はやはり綺麗だ。どうして、ここにいるのか、分らないが。いや、『寮』にもいたし….」
OK牧場大学の学生食堂のある棟に向いながら、で、まだ、『サトミツ』に限らず、女子大生なる存在と交わることのない『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、呟いた。
「い、いや、違う!女子大生のせい、『サトミツ』のせいではないんだ……」
と、誰にも聞こえぬよう云いながら、『サトミツ』と見えた女子大生に指摘された体のある部分を抑えた。
「オッカーのシータ……」
頭の中に、ある女性アイドル歌手の唄声が響いた。
「ウッラナイするのよ…..」
また、なんだかdéjà-vu(デジャヴュ)感がしてきた。
「ああ、占ってみたいさ…..今度こそ」
今度こそ、ハンカチ大学に合格したく、それが叶うか否か、花で占ってみたかった。
だが…..
「う、うーっ!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の眼には、OK牧場大学の校庭は映らず、女性アイドル歌手のミニ・スカートから出たムチッとした太腿が、VRを見るように映っていたのだ。
「受験だ。試験があるのだ。今度こそ、受からないといけないんだ!」
しかし、女性アイドル歌手が、唄いながら、腰を振る度に、眼の前でミニ・スカートがひらめく。
更に、その女性アイドル歌手の歌は続き……
「う、うーっ!」
呻きながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、異様な程に両脚を内股にして、学生食堂のある棟に駆け込んで行った。
(続く)
0 件のコメント:
コメントを投稿