2019年7月22日月曜日

住込み浪人[その155]







「綺麗だった…..ああ、女子大生はいい。綺麗だ。特に、『サトミツ』はやはり綺麗だ。どうして、ここにいるのか、分らないが。いや、『寮』にもいたし….」

OK牧場大学の学生食堂のある棟に向いながら、で、まだ、『サトミツ』に限らず、女子大生なる存在と交わることのない『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、呟いた。

「い、いや、違う!女子大生のせい、『サトミツ』のせいではないんだ……」

と、誰にも聞こえぬよう云いながら、『サトミツ』と見えた女子大生に指摘された体のある部分を抑えた。

「オッカーのシータ……」

頭の中に、ある女性アイドル歌手の唄声が響いた。

「ウッラナイするのよ…..」

また、なんだかdéjà-vu(デジャヴュ)感がしてきた。

「ああ、占ってみたいさ…..今度こそ」

今度こそ、ハンカチ大学に合格したく、それが叶うか否か、花で占ってみたかった。



だが…..

「う、うーっ!」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の眼には、OK牧場大学の校庭は映らず、女性アイドル歌手のミニ・スカートから出たムチッとした太腿が、VRを見るように映っていたのだ。

「受験だ。試験があるのだ。今度こそ、受からないといけないんだ!」

しかし、女性アイドル歌手が、唄いながら、腰を振る度に、眼の前でミニ・スカートがひらめく。

更に、その女性アイドル歌手の歌は続き……

「う、うーっ!」

呻きながら、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、異様な程に両脚を内股にして、学生食堂のある棟に駆け込んで行った。


(続く)



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