(住込み浪人[その157]の続き)
「あ…..ああ…..」
列の後ろの男子学生に怒られ、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、股間を手で隠したまま、間の抜けた声を出した。OK牧場大学の学生食堂で、カレーのカウンターの列の先頭に来ていたのに、注文をしないことを怒られたのだ。
「そうだよ、何にすんのさ?まあ、いつものでいいんだろ。スミローちゃん?!」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の注文を待たず、カレー担当のオバチャンは、そう決めつけると、カウンターに背を向け、厨房に注文を告げた。
「はーい!『チーズインモーハンバーグ・カレー』、一つ!」
固った。『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、オバチャンの言葉に固った。
「(え!?え!?ええー!)」
カウンターに背を向けたオバチャンの大きなお尻が、ブルブル震えていた。
「(んぐっ!.....いや、な、な、なんなんだ!?『チーズインモーハンバーグ・カレー』だってえ!?)」
『チーズインハンバーグ・カレー』なら分るが、『チーズインモーハンバーグ・カレー』なんて聞いたこともなく、『チーズインハンバーグ・カレー』にしたって、そんな少し凝ったものが学食にあるのか、疑問であった。
「(いや、そんなことより何より『インモー』の入ったカレーなんて、ボクは食べたくない!)」
まだ食べていないのに、モドシたい気分になり、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、自分の喉元を抑えた。
(続く)
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