2019年7月20日土曜日

住込み浪人[その153]







「なーに、あの人?」

チェック柄のロング・スカートに七分袖のミルク・ティー色のニットのセーターを着た女子学生が、蔑むような眼差しを向けて呟いた…….うつむいて歩いていた為、その女子学生の顔はよく見えなかったが、少なくとも、そう云ったように、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年には聞こえた。

OK牧場大学の『住込み浪人』用の『寮』を出たところであった。

「(パジャマがバレたのか?)」

パジャマと云っても、茶色で、ジャージに近いものであり、パジャマとは見えないはず、と思っていたので、少々慌てた。しかし…..

「四田(OK牧場大学の四田キャンパス)で『インモー』着てる奴、初めて見たわ」



女子学生は、並んで歩いていたチャコールグレイのジャケットの下に白いV字のシャツを着た男子学生にそう云った…..と思った。

「(え?『インモー』?)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、女子学生に顔を向けた。

「(綺麗だ…….え!?『サトミツ』!)」

そこには、またもや『サトミツ』がいた…..と思った。


(続く)


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