(住込み浪人[その149]の続き)
「ふぁあーあ」
布団から上半身だけ起こした男は、欠伸をしながら、木枠の窓から差し込む木洩れ陽に目を細めた。
「(また、朝が来たか….)」
と思ったが、時計を見ると、もうお昼近い時間であった。
「わっかき陽がのぼーる時!」
外からこの大学のカレッジ・ソングが聞こえて来た。
「(え?また、『若き陽』?え?ここは、『寮』?)」
男がいるのは、四田にあるOK牧場大学構内にある『寮』の部屋であった。
「(あれ、『テイトー王』は?......確か、EBSテレビのスタジオにいたはずだが…..)」
男は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年であった。
「(…..夢?....夢だったのか?....そりゃ、そうだ。ボクが、『テイトー王』のスペシャル・サポーターになり、『サトミツ』と対決するなんて、変だと思ったんだ)」
それなりに納得すると、起き上がり、部屋を出た。
「クー」
お腹が鳴ったのだ。覚醒したら、腹が空いたようであったのだ。
「あ..」
と声を発したが、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、『そのまま』部屋を出て、OK牧場大学の『住込み浪人』用の『寮』の共同台所に向った。
「まあ、これを誰もパジャマだとは思うまい」
パジャマを着たまま、部屋を出たのだ。彼のパジャマは、所謂パジャマパジャマしたものではなく、茶色で、ジャージに近いものであったのでパジャマとは見えないといえば、そうであったかもしれない。
「うっ!」
台所には、他の『住込み浪人』が二人いた。そこは、『住込み浪人』用の『寮』なのだから、それ自体は不思議ではなく、驚くことではなかった。
「(あれ?)」
なんだかdéjà-vu(デジャヴュ)感があったのだ。
(続く)
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