2019年7月17日水曜日

住込み浪人[その150]







「ふぁあーあ」

布団から上半身だけ起こした男は、欠伸をしながら、木枠の窓から差し込む木洩れ陽に目を細めた。

「(また、朝が来たか….)」

と思ったが、時計を見ると、もうお昼近い時間であった。

「わっかき陽がのぼーる時!」

外からこの大学のカレッジ・ソングが聞こえて来た。

「(え?また、『若き陽』?え?ここは、『寮』?)」

男がいるのは、四田にあるOK牧場大学構内にある『寮』の部屋であった。

「(あれ、『テイトー王』は?......確か、EBSテレビのスタジオにいたはずだが…..)」

男は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年であった。

「(…..夢?....夢だったのか?....そりゃ、そうだ。ボクが、『テイトー王』のスペシャル・サポーターになり、『サトミツ』と対決するなんて、変だと思ったんだ)」


それなりに納得すると、起き上がり、部屋を出た。

「クー」

お腹が鳴ったのだ。覚醒したら、腹が空いたようであったのだ。

「あ..」

と声を発したが、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、『そのまま』部屋を出て、OK牧場大学の『住込み浪人』用の『寮』の共同台所に向った。

「まあ、これを誰もパジャマだとは思うまい」

パジャマを着たまま、部屋を出たのだ。彼のパジャマは、所謂パジャマパジャマしたものではなく、茶色で、ジャージに近いものであったのでパジャマとは見えないといえば、そうであったかもしれない。

「うっ!」

台所には、他の『住込み浪人』が二人いた。そこは、『住込み浪人』用の『寮』なのだから、それ自体は不思議ではなく、驚くことではなかった。

「(あれ?)」

なんだかdéjà-vu(デジャヴュ)感があったのだ。


(続く)




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