2019年7月23日火曜日

住込み浪人[その156]







「ああ、『インモー』…..」

頭の中に聞こえてきた女性アイドル歌手が、そう歌ったのだ。少なくとも『住込み浪人』ビエール・トンミー青年には、そう聞こえたのだ。

「(ええー!どうしてだ?そんな歌詞ではなかったぞ!んぐっ!)」

そうだ。その女性アイドル歌手のその歌にそんな歌詞はなかった。実際には、

「アーイノー…..」

という歌詞であったが、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の頭には、いや股間には、

「ああ、『インモー』…..」

と聞こえていたのだ。



「(おかしい!おかしいぞ、なんだか)」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、眼を閉じ、頭を振った。

「君いー、悪いんだけど、先に進んでくれない」

男子学生の声に、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、我に返り、閉じていた目を開けた。


(続く)




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