(住込み浪人[その141]の続き)
「(どうして知っていたか、って?....そう、ボクは、どうして、『裸のマハ』のモデルのと云われるアルバ公爵夫人の正式な名前なんかを知っていたのだ?)」
EBSテレビのスタジオCで収録中のクイズ番組『テイトー王』の司会者の一人、ナンカイノー・アメカイノーが自分に投げてきたのと同じ質問を、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、自分自身に向けた。
「(オープン・カレッジだろう)」
観客席から、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年にだけ聞こえる声
が届いた。
「(え?オープン・カレッジ?)」
観客席の友人エヴァンジェリスト青年に、視線を向ける。
「(●●●子先生さ)」
「(ああ、●●●子先生かあ。オープン・カレッジの●●●子先生の『西洋美術史』の講座で学んだんだなあ)」
「(そうさ)」
「(なんだ、そうだったのかあ。それにしても、ボクは、よくあんな長い名前を覚えていたもんだ…….いや、あれ?)」
「(どうした?)」
「(オープン・カレッジの● ●●●子先生の『西洋美術史』の講座って、それは何だ?)」
「(自分で云ったんじゃないか)」
「(いや、ボクはまだ、オープン・カレッジなんて行っていないし、●●●子先生の『西洋美術史』の講座も受講していないぞ)」
「(そうだ、『まだ』な)」
(続く)
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