(住込み浪人[その142]の続き)
「(え?!.....『まだ』って…..)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、『戸惑い』という言葉では表現できない感覚に囚われた。EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』を収録中であるスタジオCの観客席にいる友人の言葉、その意味することを理解しつつも理解できない、という感覚であった。
「(そうか、ボクは、まだ、オープン・カレッジなんて行っていないし、●●●子先生の『西洋美術史』の講座も受講していないんだ!)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、自分があらためて『住込み浪人』であることを、つまり、要するに『浪人』であって、高校を卒業して、まだ大学に入学できていないことを自覚した。
「(それに、まだこの時代、『オープンカレッジ』なんてなかったぞ)」
「(そうさ)」
友人エヴァンジェリスト青年は、落ち着いていた。
「(では、何故、ボクは、『オープンカレッジ』なるものを知っているんだ?」)」
「(ふふ)」
「(まだ存在しない『オープンカレッジ』に行って、受講した覚えのない●●●子先生の『西洋美術史』の講座を受講したことをボクは、知っているんだ?)」
「(ふふ)」
「(いや、ああ、頭が痛い!『受講した覚えのない講座を受講したことを知っている』?......割れるう!頭が割れるう!)」
「(ふふ)」
「(へ?....まさか、『タイムスリップ』?いや、この時代にはまだ、『タイムスリップ』なんて言葉もなかったぞ!)」
「(ふふ)」
「(ああ、『まだ存在しない言葉を知っている』ことをボクは自覚している。ああ、これは一体、何なんだ!?)」
「(ふふ)」
「(ボクは、安易に過去と未来を行き来したり、亡くなった人間を登場させる映画やドラマなんて嫌いだ!そんなBlogも大嫌いだ!)」
「(ああ、ボクもそんなの大嫌いだ!)」
(続く)
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