(住込み浪人[その140]の続き)
「(君は、答えられるよ)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の目を射た光から、ほんの何ナノ秒遅れて、声が届いた。EBSテレビのスタジオCで収録中のクイズ番組『テイトー王』の観客席からだ。
「(え?エヴァ!君か?)」
『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の口が、開いた。
「(さあ!)」
観客席の闇からエヴァンジェリスト青年が促した。
「え!?.....ああ……..マリーア・デル・ピラール・テレサ・カイエターナ・デ・シルバ・イ・アルバレス・デ・トレド (María del Pilar Teresa Cayetana de Silva y Álvarez de Toledo).......」
股間、右手に続いて、今度は、『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の口が、勝手な行動(いや言動か?)をとった。
「うおおおおおおおおー!」
スタジオ中がどよめいた。
「さすがだよー!『スミロー』ちゃん!今度、カレー、大盛りサービスしたげるよ!」
OK牧場大学の学生食堂のカレー担当のオバチャン『サキ』が、叫んだ。
「(えええええ!....負けたわ。でも、スゴイ!んぐっ!)」
早押しボタンから外した手を股間に置いた『サトミツ』は、素直に自分の負けを認めた。
「(....私には、分らなかった…んぐっ!)」
『テイトー王』のクイーンである『テイトー』(帝立大学東京)の学生にして、スタンハンセン大学も認めた才媛である『サトミツ』こと『佐藤ミツ』をしても、『裸のマハ』のモデルの一人、アルバ公爵夫人の正式な名前は、知らなかったのだ。
「いやあ、さすがに『テイトー』を合格したのに辞退しただけのことはあります!ビエール・トンミー君、どうして、こんな長くて覚えるのも難しい名前を完全に知っていたのですか?」
『テイトー王』の司会者の一人、ナンカイノー・アメカイノーが、質問を投げた。
(続く)
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