2019年8月2日金曜日

住込み浪人[その166]







『インモー』!」

OK牧場大学の学生食堂にいた殆どの学生が、一斉に『住込み浪人』ビエール・トンミー青年の方に顔を向けた。



「へっ!?」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、自分が発した言葉とその言葉の『効果』を自覚した。

「なんだよ、アイツ」
「四田であんな言葉叫んだ奴、初めてじゃないか?」
「オゲレツねえ」
「あれ、アイツ、『スミロー』じゃねえか?」

『住込み浪人』ビエール・トンミー青年は、視線を目の前に置いたカレーに落とした。…….が、

「ふふ」

頭上の含み笑いの方に顔を向けた。

「(やっちまったな。ふふ。まあ、いいだろう)」

2階の特別食堂の手摺からまだ顔をのぞかせたままのエヴァンジェリスト青年は、落ち着き払っていた。

「(良くはない!エヴァ、君のせいだ!君が、変な問題を出すからだ!)」
「(しかし、その問題に答えたのは、君だ。しかも、正解を)」
「(当り前だ。裸のマハ』は、『インモー』論争を引き起こしたんだもん)」
「(ふふーん。君は、どうしてそのことを知っているんだ?)」
「(大学の、ハンカチ大学のオープン・カレッジの●●●子先生の『西洋美術史』の講座で学んだんだもん。………んん?)」
「(気付いたかい?)」
「(ええ?.....ボクは、ボクは、オープン・カレッジの●●●子先生の『西洋美術史』の講座で学んだ……..オープン・カレッジなんて、まだ受講したことはないけど……んん?『まだ』?.....ああ、ああ、ああー!)」
「(そうさ。君は、『まだ』オープン・カレッジの●●●子先生の『西洋美術史』を受講したことはない。今はな。ふふ)」
「(どういうことだ?.....おかしいぞ。そうだ。『SNCF』といい、裸のマハ』といい、『テイトー王』で出たばかりの問題じゃないか!……んん?『テイトー王』?)」
「(おや、君は、EBSテレビのクイズ番組『テイトー王』に出演したのかい?)」


(続く)



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