2019年8月17日土曜日

ハブテン少年[その5]




『少年』は、広島市立皆実(みなみ)小学校[ミナミショー]を卒業する頃も、ハブテン少年ではあったのだ。

だって、ハブテルと、

「あんたあ、ハブテンさんな」

と母親に叱られるのだ。


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「エヴァンジェリスト、お前、クラブ決めたんか?」

音楽教師の教務室の自分の席に座ると、ムジカ先生は、体を入口に向け、そこに『キョーツケ』(気をつけ)で立っている『美男子』少年に、問いを投げた。

「え?.....いいえ」

ムジカ先生の問いの意味を計りかね、エヴァンジェリスト少年は、眼を右斜め上に泳がせながら、小声で答えた。

「バレーにするんか?」
「へ?」

と、口をだらしなく開けたエヴァンジェリスト少年の脳裏には、母親がバレーボールをする姿が浮かんでいた。

「そーれ!」

母親が、ネットに向かいジャンプし、相手側コートにスパイクを打ち込んでいる。




(続く)



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