『少年』は、広島市立皆実(みなみ)小学校[ミナミショー]を卒業する頃も、ハブテン少年ではあったのだ。
だって、ハブテルと、
「あんたあ、ハブテンさんな」
と母親に叱られるのだ。
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(ハブテン少年[その4]の続き)
「エヴァンジェリスト、お前、クラブ決めたんか?」
音楽教師の教務室の自分の席に座ると、ムジカ先生は、体を入口に向け、そこに『キョーツケ』(気をつけ)で立っている『美男子』少年に、問いを投げた。
「え?.....いいえ」
ムジカ先生の問いの意味を計りかね、エヴァンジェリスト少年は、眼を右斜め上に泳がせながら、小声で答えた。
「バレーにするんか?」
「へ?」
と、口をだらしなく開けたエヴァンジェリスト少年の脳裏には、母親がバレーボールをする姿が浮かんでいた。
「そーれ!」
母親が、ネットに向かいジャンプし、相手側コートにスパイクを打ち込んでいる。
(続く)
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